研究課題/領域番号 |
19H00970
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 雅裕 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00444521)
|
研究分担者 |
高島 康弘 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20333552)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | トキソプラズマ / インターフェロン / 宿主免疫系 |
研究実績の概要 |
病原性原虫であるトキソプラズマは日和見病原体の一つで、健常人が感染しても問題ありませんが、抗ガン剤や臓器移植患者などの免疫不全者や妊婦が初感染した場合に致死的なトキソプラズマ症を引き起こす。トキソプラズマに対する免疫系には、マクロファージなどの自然免疫系とT細胞などによる獲得免疫系があり、それらが相互に協調して働くことが重要であることが分かってきた。ホスホリパーゼC(PLC)はリン酸エステル基の直前でリン脂質を切断する酵素群の総称で、真核生物で広く保存され、特に細胞内シグナル伝達経路で重要な役割を果たす。13種類存在する哺乳類のPLCは構造に従って5種類に分類される。PLCβ4は4つあるPLCβファミリー分子の一つで、主に中枢神経系に主に存在していることが報告されていたが、免疫系における役割については全く分かっていなかった。そこでPLCβ4欠損マウスを作製し、トキソプラズマを感染させ生存率測定を行った。その結果、PLCβ4欠損マウスが野生型マウスに比べてトキソプラズマ感染に高感受性を示すことを発見した。次に、自然免疫系と獲得免疫系のどちらが重要かを検討する目的で、マクロファージを含むミエロイド系細胞特異的なPLCβ4欠損マウスとT細胞特異的なPLCβ4欠損マウスにトキソプラズマを感染させる実験を行った。その結果、ミエロイド系細胞特異的なPLCβ4欠損マウスは野生型マウスと同様に耐性だが、T細胞特異的なPLCβ4欠損マウスがトキソプラズマ感染に弱いことが分った。次にPLCβ4のT細胞における機能を調べました。人為的にTCRを刺激しT細胞を活性化させると、野生型CD4 T細胞もPLCβ4欠損CD4 T細胞も同程度にインターフェロンγを産生した。一方、野生型CD8 T細胞に比べて、PLCβ4欠損CD8 T細胞ではインターフェロンγの産生が著しく低下していることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に、Journal of Experimental Medicine誌(IF > 10) に研究成果を発表できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降も、引き続き、重要家畜病原体トキソプラズマと宿主の免疫学的相互作用の解析を推進する。
|