研究課題
自然免疫は病原体の感染をいち早く察知し炎症反応を引き起こす一方、後に続く獲得免疫を誘導するという極めて重要な役割を果たす。自然免疫における病原体センサーの一つにToll様受容体がある。TLRファミリーを構成する分子のうち,TLR7とTLR8 (TLR7/8) は相同性が高く,いずれもssRNAを認識し,機能的に類似している.TLR7/8は様々なウィルス感染や細菌感染に関わっており,活性化すると炎症性サイトカインやインターフェロンの産生を促して抗ウィルス反応や炎症応答を引き起こす。さらにTLR7/8は低分子干渉RNAや死細胞由来のRNAを認識することも示されており,自己免疫疾患との関連が指摘されている。TLR7およびTLR8はウイルスや死細胞に由来するRNAを認識して自然免疫反応をひき起こす。このためTLR7/8を活性化する化合物(アゴニスト)と同様に阻害する化合物の開発も望まれている.すでに我々は,TLR8阻害剤とTLR8との複合体構造解析を通して阻害機構を明らかにしてきた。その結果阻害剤は不活性化型2量体を安定化し,アゴニストの結合および活性化型2量体への構造変化を阻害することが明らかにするとともにまた阻害剤とTLR8の相互作用を原子レベルで解明し,詳細な認識機構を明らかにした.今回我々はすでに報告した化合物とは異なった骨格をもつ化合物がTLR7/8に対し阻害活性を示し、競合実験によりアゴニストの結合を阻害することを示した。
2: おおむね順調に進展している
アンタゴニストによるTLR8の阻害機構を物理化学的に明らかにし論文化することができた。また並行してTLR7との阻害剤との複合体解析にも成功し現在論文投稿中である。
TLRの全長構造の解析に向けて電子顕微鏡による単粒子解析を行っている。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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