研究課題
哺乳類においてレトロトランスポゾンに高い相同性を示すインプリント遺伝子Peg10、Peg11/Rtl1は、胎盤形成や機能維持に必須の役割を果たしている。本申請研究では、Peg10のプロテアーゼモチーフに変異を持つマウスが胎盤の胎児毛細血管の異常により周産期致死になることから、Peg10が胎盤を介して母子免疫寛容に機能することを明らかにした(Development 2021)。また、胎盤における胎児毛細血管の血管内皮細胞で発現するPeg11/Rtl1と、それを囲うトロホブラスト細胞で発現するPeg10の2つのウイルス由来の遺伝子間の協調作用が存在を明らかした。Peg11/Rtl1は筋肉発生にも必須な機能を持ち(Development 2020)、脳の哺乳類特異的構造である皮質脊髄路、真獣類特異的構造である脳梁、海馬などでの発現が、KOマウスの示す行動異常に関係すること、これが鏡ー緒方症候群、テンプル症候群に見られる精神疾患の主要原因遺伝子であることを明らかにした(Genes Cells 2021)。これによりPeg11/Rtl1が哺乳類の脳機能進化にも重要な役割を果たすことを明らかにした。Sirh3/Rtl6、Sirh8/Rtl5の内在性遺伝子のC末に蛍光蛋白質を融合したKIマウスを作成し、これらが脳のミクログリアで機能することを明らかにした。これらは共同的または片方が優先的に病原体物質を認識し、排除する機構に関わっている。これにより、レトロウイルス由来の遺伝子が自然免疫の進化にも関係していることを初めて明らかにした(bioRxiv 2021)。ミクログリアは卵黄嚢由来の細胞であることから、胎盤や卵黄嚢などの胚体外組織が、進化上、ウイルス由来の遺伝子の獲得の場として機能するという新しい仮説を提唱した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 7件) 備考 (2件)
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