研究課題/領域番号 |
19H00979
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松本 邦弘 名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (70116375)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 遺伝学 / 再生医学 / シグナル伝達 / 神経科学 / 脳・神経 |
研究実績の概要 |
SVH-24を介した神経軸索再生制御機構:svh-24は機能未知の遺伝子であるが、ユビキチンリガーゼE3と結合する F-boxドメインを持つことから、何らかのタンパク質の分解を制御すると考えられる。遺伝学的解析から、SVH-24は受容体型チロシンキナーゼをコードするsvh-2遺伝子の発現を誘導する転写因子ETSの上流で機能することが示唆された。これまでの研究から、線虫の軸索再生において、ETSはMADの線虫ホモログMDL-1が軸索切断依存的に分解されることで活性化されることがわかっていた。そこで、SVH-24とMDL-1との関係について検討した結果、svh-24欠損変異体では軸索切断依存的なMDL-1の分解が起きないことが判明した。従って、SVH-24はMDL-1の軸索切断依存的な分解を誘導することで、ETS依存的なsvh-2遺伝子の発現を誘導し、軸索再生を誘導することが明らかになった。
SVH-16を介した神経軸索再生制御機構:PFTKキナーゼの線虫ホモログSVH-16については、昨年度までにnon-canonical Wntシグナル上で、WGEFホモログであるEPHX-1を介してミオシン軽鎖のリン酸化を制御することが示唆されていた。non-canonical Wntシグナルによるミオシン軽鎖のリン酸化は、Rho-ROCKによるリン酸化経路と、CDC-42-ミオシンホスファターゼによる脱リン酸化経路の両方で制御されている。そこで、SVH-16がどちらの経路を介して軸索再生を制御しているか遺伝学的に検討した結果、CDC-42-ミオシンホスファターゼの経路を介して制御していることが明らかになった。
SVH-22を介した神経軸索再生制御機構:svh-22遺伝子による神経軸索再生制御については、昨年度までにSVH-22の代謝産物であるascaroside C3が神経軸索再生を制御することを見出していた。今回、神経軸索再生に関わるascaroside C3の受容体として、SRG-36/SRG-37を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
SVH-16がEPHX-1を介して、CDC-42-ミオシンホスファターゼ経路を制御することで軸索再生を制御することが明らかとなった。SVH-16のプロテインキナーゼ活性が軸索再生に必要か、明らかにする必要がある。
SVH-22については、ascaroside C3とその受容体SRG-36/SRG-37が、神経軸索再生制御において機能している神経を明らかにする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
SVH-16については、プロテインキナーゼとしての機能が軸索再生に必要か、CRISPR-Cas9法でキナーゼ不活性型の変異を線虫に導入することで検討する。
SVH-22については、神経軸索再生制御において機能する組織の同定を目指す。
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