PFTKキナーゼの線虫ホモログSVH-16を介した神経軸索再生制御機構:昨年度までに、SVH-16がDblファミリーのGEFであるEPHX-1を介して、CDC-42を活性化することで、神経軸索再生を促進することを明らかにしていた。本年度は、まずSVH-16のキナーゼ活性が軸索再生に必要か、キナーゼ不能型変異を導入して検討した。その結果、SVH-16のキナーゼ活性は神経軸索再生に必要ないことが判明した。一般に、DblファミリーGEFは、そのN端がC端のSH3ドメインと結合してGEF活性を阻害する。同様に、EPHX-1のN端もC端のSH3ドメインと結合するが、同時にSVH-16もSH3ドメインと結合する。また、EPHX-1のN端を欠損させると、svh-16変異体の再生率低下が抑圧された。以上の結果から、SVH-16はEPHX-1のSH3ドメインに結合することでEPHX-1のN端による自己阻害を解除することによりCDC-42を活性化し、神経軸索再生を促進すると考えられる。
ascaroside C3合成酵素SVH-22を介した神経軸索再生制御機構:昨年度までに、SVH-22により合成されるascaroside C3が、7回膜貫通型受容体であるSRG-36/SRG-37を介して、神経軸索再生を促進することを明らかにしていた。今年度は、軸索再生の際にSVH-22が機能する神経の探索を行なった。その結果、SVH-22は切断しているD型運動神経自身で機能することを見出した。さらに、svh-22変異体でSVH-22遺伝子を切断神経と直交する神経で異所発現させた場合、異所発現させた神経を同時に切断した時だけ、svh-22変異体の再生低下がレスキューされた。これらの結果から、svh-22は切断神経で特異的にascaroside C3を産生することで、軸索再生を促進することが明らかになった。
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