硫酸基転移酵素SULT2B1bは、妊娠時の胎盤や子宮、がん組織で発現が上昇するが、その発現制御機構や機能的意義は明らかではない。研究代表者は最近SULT2B1bによって生成されるコレステロール硫酸(CS)が免疫細胞の遊走や活性化に重要なDOCK2の機能を阻害することを明らかにした。本研究は、さらにSULT2B1bの遺伝子発現制御機構と機能的重要性を明らかにしようとするものである。 生体には胎児やがん組織など免疫監視機構が発動しにくい組織や空間が存在し、これを免疫特権部位と呼ぶ。SULT2B1bによるCS産生が、この免疫回避において重要な役割を果たしている可能性があり、本研究によって「免疫特権」の謎の解明が進めば学術的に価値があるのみならず医学的応用も期待される。
|