生命に20種類のアミノ酸が必要かという根源的な問いに対して、トリプトファンを持たない酵素により構成される解糖系に依存する大腸菌を作製することにより明らかにしようとする意欲的かつユニークな提案である。また硫黄原子をできる限り含まない代謝系酵素を創出することにより、酸化に対して頑健な物質生産系の構築も目指している。 合成生物学の手法により、20種類のアミノ酸より成るタンパク質で構成される以前の生命のかたちを具現化し、生命システムの進化にアプローチする本研究の学術的意義は大きい。また、本研究で用いるタンパク質人工進化の手法は、含硫アミノ酸を持たないために酸化耐性をもつ酵素の創出など、産業への応用も期待される。
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