研究課題/領域番号 |
19H00993
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 道行 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (10199812)
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研究分担者 |
高橋 康史 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任教授 (90624841)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 細胞集団運動 / 上皮細胞増殖因子 / ERK / マップキナーゼ |
研究実績の概要 |
細胞集団運動は細胞間接着を保ったまま細胞が移動する現象で、その理解は組織発生、創傷治癒、癌細胞浸潤などを理解するうえで極めて重要である。申請者らは細胞集団運動時に上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)を介したERKマップキナーゼの活性化が先導する細胞から後方の細胞へと連鎖反応的に誘導される現象を発見している。研究開始時に、解明したい課題を5つ挙げ、目標1、3、5の研究テーマはすでに論文として発表した。目標2については、実験系の構築が期待した通りには進まなかったため中止した。残る目標4について引き続き研究を行い、全7種類のEGFRリガンドプローブおよびコントロールプローブ2種類を使って、薬剤誘導性にこれらの分子がどこまで遠く影響を及ぼしうるのかを明らかにすることができた。驚くべきことに、もっとも親和性が低いEREGが上皮細胞においてはより早くより遠くまでシグナルを伝搬しうることが明らかとなった。EREGが高親和性EGFRリガンドであるHB-EGFやTGFaよりもより効率的にERKを活性化しうるメカニズムを明らかにするために、細胞内への取り込みを共焦点顕微鏡で解析した。本研究を進めるために、EGFRリガンドの専門家であるPittsburgh大学のSorkin研究室へ大学院生を派遣し研究を進めた。さらに、この現象が生体でも起きているかを確認するために、EREGのノックアウトマウスを作成し、ここにERKバイオセンサーを発現させ、これを多光子顕微鏡で観察することで、EREGが創傷治癒過程においてERK活性伝搬に重要な役割を果たすことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標2は、SICMを使った研究を進める予定であったが、想定ほどの解像度が得られず、研究を断念することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
目標2以外は順調に進み、最終年度には目標4の研究を論文発表して、研究を完遂する予定である。
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