我々は、空間への曝露を繰り返すと前帯状皮質に、ある空間内どこでも反応する空間文脈細胞を見出した。空間文脈細胞はまず場所細胞として出現した後、受容野が広がり、空間文脈細胞になった。海馬神経活動をDREADDを用いて抑制したところ、形成されなくなった。しかし一旦形成された空間文脈細胞は抑制されなかった。睡眠中の海馬活動を抑制したところ、同様に空間文脈細胞の形成が阻害された。これは長期記憶と性質を共にする。そこで、記憶痕跡細胞に発現するとされるc-fosプロモーターを用いてG-CaMPを発現させたところ、多くの細胞が記憶痕跡細胞となった。これらから空間文脈細胞は記憶痕跡を担っていると考えられる。
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