ヒトの近縁種であるサルの中部頚髄(C4/C5髄節)における側索背側部を切断しても訓練により手指の巧緻運動は良く回復する。その際、両側運動関連領野の活動をECoG電極を用いて縦断的に記録したところ、回復初期に損傷同側運動前野において、運動開始時に活動の増加を認めた。この運動開始時の同側運動野の活動に対する反対側運動前野からの入力の効果を知るために、ウィルスベクター2重感染法とDREADD法を組み合わせて、反対側運動前野から同側運動前野に至る交連線維を可逆的に遮断したところ、損傷前は抑制性であった半球間の相互作用が損傷後は興奮性に転じ、同側運動前野の運動への関与を促進していることが明らかになった。
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