研究課題/領域番号 |
19H01015
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
富田 泰輔 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (30292957)
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研究分担者 |
伊藤 弦太 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任講師 (10431892)
樽谷 愛理 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任助教 (10815187)
堀 由起子 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (80610683)
高鳥 翔 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (80624361)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知症 / 神経変性 / グリア細胞 / ストレス応答 |
研究実績の概要 |
本研究においては、異常タンパク質蓄積を起点とする認知症の神経変性プロセスについて、様々な細胞が関与する「細胞病態」として捉えなおす。そしてこれらの細胞間相互作用について理解を目指し、1)凝集タンパク質が引き起こす細胞レベルでのストレス応答の理解、2)慢性的なタンパク質蓄積に対する細胞反応異常の解明、3)細胞病態を反映する診断法や介入に向けた新規技術開発、を目指して研究を遂行する。当該年度においては、凝集タンパク質の一つであるアミロイドβ(Aβ)の脳内蓄積を反映するバイオマーカーAPP669-711のADモデルマウス血中動態について解析し、Aβ42との比率が脳内Aβ蓄積と相関することを見出した。またAβ産生酵素であるγセクレターゼの活性中心サブユニットであるプレセニリンの構造ダイナミクスについて検討し、第一膜貫通領域と第三膜貫通領域が連動してコンフォメーション変化し、その活性制御に影響することを見出した。またγセクレターゼの細胞内局在の制御因子としてCib1を同定した。遺伝学的ADリスク因子EphA4がβセクレターゼ活性に影響することを明らかにした。また凝集したAβをミクログリアが認識するメカニズムに遺伝学的アルツハイマー病リスク因子TREM2が関与していることを見出し、その下流にホスホイノシチド代謝機構が関連することを見出した。細胞質内に異常凝集したタウを保持する細胞を用いてCRISPR/Cas9システムによるゲノムワイドスクリーニングを行い、タウ凝集体の形成や維持に関わる複数の分子を見出した。タウによる神経障害メカニズムにミクログリアが関与することを明らかにした。パーキンソン病原因遺伝子LRRK2が肺リソソーム関連オルガネラであるラメラ小体の形態に関わっていることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに見出した、凝集タンパク質や認知症関連遺伝子変異が細胞に及ぼすストレス応答機構に係るシグナル伝達関連因子が明らかとなりつつあり、いくつかの分子については介入が可能であることを見出した。またヒト臨床検体から同定されたバイオマーカーに関してもその産生メカニズムの理解から、モデルマウスでの再現性が確認された。昨年度に引き続き、認知症発症機構における細胞病態の研究が進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝学的解析やin vitroでの解析から見いだされた鍵分子群をin vivoでの表現型解析が可能とするため、AAVによる遺伝子発現系の初期的検討を開始している。認知症における神経障害メカニズムにミクログリアが重要な役割を果たす可能性が、様々な解析から示されつつある。そしてヒトでのエビデンスをもとに見出したAPP669-711については、モデルマウスでの再現性が確認され、引き続き認知症発症プロセスにおける細胞病態の全容をモデル、ヒト両方の側面から検討を進めていく。
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