研究課題/領域番号 |
19H01016
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
永田 哲也 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト准教授 (50362976)
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研究分担者 |
原 倫太朗 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト講師 (70709766)
横田 隆徳 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (90231688)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヘテロ核酸 / 骨格筋 / 心筋 / 筋疾患 / スキッピング |
研究実績の概要 |
コレステロール結合ヘテロ核酸では、アンチセンス核酸と比較して、非常に強い遺伝子抑制効果を示す。そこで心臓及び骨格筋での単回投与後の遺伝子抑制効果の持続時間を検討した。標的は遺伝子抑制効果の強い配列があるMalat1遺伝子であるが、半年後でも十分な遺伝子抑制効果が確認できている。静脈投与では十分な遺伝子抑制効果を示すが、現在の全身投与の主流は皮下投与である。皮下投与であれば将来的にクリニックや在宅で治療可能であり、こちらに関しても検討した。皮下投与でも心筋・骨格筋・横隔膜でアンチセンス核酸と比較して、非常に強い遺伝子抑制効果を示した。静脈投与に比較すると、遺伝子抑制効果はやや減弱していたが、それでも90-85%の遺伝子抑制効果が認められた。静脈投与時に見られる20%程度の減少を伴う血小板減少は全く見られず、高用量投与で見られる脳内での微小梗塞も抑制できていた。また単回皮下投与後の遺伝子抑制効果の継続についても検討した。投与後1ヶ月の時点でも90%近い遺伝子抑制効果が継続して認められた。機能解析の観点では、核酸の取り込みに関与(肝臓)していると想定されているスカベンジャーレセプターMSR1ノックアウトマウスを用いて検討したが、特に心筋や骨格筋および横隔膜での遺伝子抑制効果の減弱は見られず、同じくスカベンジャーレセプターStabilin1に対する阻害抗体でも特に心筋や骨格筋および横隔膜での遺伝子抑制効果の減弱は見られなかった。FcRNノックアウトマウスも昨年に引き続き、検討したがやはり、遺伝子抑制効果に影響はなく特異的な経路で取り込まれていることが示唆された。また脂質リガンドとしては、細胞膜成分であるホスファチジルエタノールアミン(PE)に関して5種類程度検討した。いずれも遺伝子抑制効果はむしろ減弱していた。またアルキル鎖のリガンドでも不飽和脂肪酸の場合、減弱する傾向にあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの影響で自宅待機期間があり、試薬の入手困難、リガンドの合成に時間がかかったり、海外発注品の輸入に時間がかかった部分で影響を受けたが概ね順調に進展したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きリガンドの探索を行う。筋指向ペプチドや長鎖脂肪酸のさらなる合成が可能となりそうで、そちらに関しても検討する。ヘテロ核酸は血中ではLDLやHDLに結合している。これまでにLDL-RやApoEノックアウトマウスでは、遺伝子抑制効果への影響は少なかった。ノックアウトマウスではなく、食事を変えることで高脂肪食や低栄養状態を作成し、遺伝子抑制効果を検討する。ELISAの系を立ち上げて、心筋・骨格筋に加えて肝臓・腎臓での分布を確認する。またエクソン・スキッピングに関してもモデルマウスを用いた検討を行う予定である。加えてラットでの検討も行う。
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