研究課題
液性免疫記憶発動に特徴的な現象、迅速・高親和性IgG抗体産生、を支えるメカニズムとして、一次感染時、メモリーB細胞は、その生成過程で高親和性IgG抗体を有する細胞のみ選択され、同じウイルスの2次感染時、迅速活性化されると、長い間考えられていた。このモデルでは、2度目に変異ウイルス、例えばパンデミックインフルエンザ(ドラスチックな変異が入り、大流行を引き起こす)感染時、最初のウイルスに対する高親和性IgG抗体有するメモリーB細胞は、もはや反応できず、にもかかわらず、なぜ免疫記憶反応が成立するヒトが存在するのかが謎であった。申請者らは、一次感染時、メモリーB細胞集団は、高親和性ではなく、親和性が中・低度の細胞が選択されているデータを得(Nat. Immunol. 2016)、「この広汎な、抗体レパトアメモリーB細胞の存在が、二次変異ウイルス感染時、免疫記憶反応を誘導できる基盤である」という仮説提唱に至った(Immunol. Rev. 2018)。本年度は、まずこの仮説検定をモデルマウス感染系でおこなった。インフルエンザNarita株でまず感染さし、メモリーB細胞を作らせたのち、変異インフルエンザPR8株を感染さし、実際既に産生されている抗体ではなく、作られているメモリーB細胞が活性化され、PR8株にも有効な抗体を産生することが、PR8株除去に重要であることを証明した。即ち、申請者らの仮説は妥当性を持っていることが判明した。
1: 当初の計画以上に進展している
この課題は申請者らの仮説検定が、キーステップであり、検定までに、約1.5年かかると予測していたが、それより早いスピードで結果が得られた。
仮説の妥当性が証明されたので、予定どおり1)中・低親和性メモリーB細胞生成メカニズムの探索 2)メモリーB細胞の変異株での活性化メカニズム、を進めていく。
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