研究課題
(1)液性腫瘍免疫に着目したシングルセル免疫レパトア解析多彩ながん試料に対するシングルセル・トランスクリプトーム解析とがん浸潤B細胞のシングルセル・レパトア解析を継続的に進めた。シングルセル・レパトア情報とシングルセル・トランスクリプトーム情報を統合した高次元の解析によって、がん特異的ヒト免疫グロブリンに関する重鎖・軽鎖の正確なレパトア配列情報の確定、somatic hypermutationやclass switchなどのレパトア配列情報科学を進め、がん特異的ヒト免疫グロブリンの単離とがん環境におけるその成熟過程のプロファイリングを進めた。単離された多量のがん特異的ヒト免疫グロブリン配列をライブラリとして構築し、ヒトがん細胞への反応性や増殖抑制効果などの機能スクリーニングを進めることで、がん治療抗体候補を単離することに成功した。特に機能性の高い抗体候補については、タンパク抗原や糖鎖抗原など多角的な抗原探索を進め、液性腫瘍免疫の分子メカニズムの探索を進めた。(2)抗硫酸化糖鎖ヒト抗体の抗原構造の探索と意義の探索ヒトがん環境に高頻度に存在することを明らかにしていた「高密度硫酸化糖鎖がん抗原」に対するB細胞クローンに関して、なぜがん環境で特異的にそのような高密度硫酸化糖鎖に対する液性免疫が生じるのかについて、生化学的アプローチおよび病理組織学的アプローチによる検討を進め、その分子メカニズムの一端を解明することに成功した。抗高密度硫酸化糖鎖ヒト抗体のがん治療抗体としての応用性可能性について、マウスモデル等による検証実験を進めた。(3)統合解析上記の研究計画によって得られた成果を統合解析し、シングルセルレベルの高次元データからがん特異的な液性免疫が生じる分子メカニズムの一端を解明することに成功し、新規がん治療ヒト抗体の開発へ繋がる基盤的足掛かりを得ることができた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件)
Protein Expr Purif.
巻: 214 ページ: 106375
10.1016/j.pep.2023.106375
Cell Rep.
巻: 42(10) ページ: 113236
10.1016/j.celrep.2023.113236