本研究で計測した運動視床細胞は主として大脳基底核からの入力を受ける細胞であり、M1の5層IT細胞は大脳基底核へ強く出力する。M1-大脳基底核-視床-M1のループとM2→M1経路の運動学習にともなう変化を見出したことは、哺乳動物が環境適応して行動するために必須な運動学習がどのような広域脳ネットワーク再編成によって実現されているか、という問いの一端を解き明かしたと言える。大脳基底核の異常はパーキンソン病を含め多くの運動疾患と関係しており、本研究成果はこれらの運動疾患の理解にも重要であり、新たな治療方法への発展も期待される。
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