今後の研究の推進方策 |
2021年度は、アルツハイマー病以外の神経変性疾患を対象に、死細胞・生細胞間シグナル伝達と2次的細胞変性の解明を、4種類のFTLDモデルマウス、さらに、2種類のハンチントン病(HD)モデルマウス(変異Htt-KIマウス、R6/2マウス)を用いて実施する。これまでに蓄積した、網羅的リン酸化プロテオーム解析を行い、得られたリン酸化タンパク質変化をKEGGなどのシグナル経路特異的なデータベースを参照してデータマイニングして、死細胞・生細胞間シグナル伝達経路を同定する。 インフォマティクス解析あるいは計算論解析から推定された新たな死細胞・生細胞間シグナル伝達経路について、免疫組織化学でどの神経細胞あるいはグリア細胞に生じているかを同定し、ウェスタンブロット法により定量的再確認を行う。さらに、凍結脳サンプルを用いた生化学的手法により、膜受容体以後のシグナル経路の確認を行う。 最終的に、シグナル経路の遮断をASO, siRNA, shRNA、抗体、あるいは低分子化合物などを用いて行い、細胞レベル、個体レベル(病理および認知機能等の行動解析)で回復が見られるかを検討し、候補シグナル経路の病的意義を実証する。これらの一連の手法は、私たちが最近5年頻用してきたアプローチ(Nat Commun 2013, Mol Psychiatry 2014, EMBO Mol Med 2014, Sci Rep 2016, Nat Commun 2017, Nat Commun 2018)であり、同様に解析を進める。 また、3年間の研究成果を総合して、『死細胞・生細胞間シグナル伝達による変性拡散仮説の確立と応用』を完了する。
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