研究課題/領域番号 |
19H01043
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小野寺 理 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20303167)
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研究分担者 |
上村 昌寛 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00836710)
五十嵐 博中 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20231128)
今野 卓哉 新潟大学, 脳研究所, 助教 (20837372)
加藤 泰介 新潟大学, 脳研究所, 特任准教授 (30598496)
清水 宏 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (40608767)
金澤 雅人 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (80645101)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳小血管 / リンパ管 / 認知症 |
研究実績の概要 |
加齢による脳の病期は、主に僅か4種類のタンパク質の蓄積により引き起こされる。蓄積は、産生と排泄のアンバランスによるが、従来は、タ ンパク質の凝集し易さや分解されにくさについて研究されてきた。一方、排泄に関しては不明であった。近年、脳内の排泄経路が複数発見され 、加齢性脳疾患との関係が示唆されている。本研究は、脳の排泄経路を明らかとし、加齢性脳疾患への関与を見いだし、新たな視点から本症の 克服の路を探る。今年度は、HTRA1欠損マウスの於ける脳血管をマルチオミックス解析にて詳細に解析した。その結果、遺伝子発現に与える影響は極めて軽度であるが、タンパク質に大きな変動を見出した。定量的DIAプロテオミクスとGO解析にて、その主体が細胞外基質(ECM)の変化がマトリゾームの異常である可能性を見出した。本年度はこの定量的DIAプロテオミクスを施行し、網羅的に蛋白質分画の変化を検討した。その結果、このECMの変化は、極めて得的であることを見出した。さらにこの変化がハブ蛋白としてフィブロネクチンを起点としていることを見出した。フィブロネクチンの蓄積は加齢性変化でもよく認める変化である。これをカンデサルタンが抑制することを見出し、その抑制効果を検証している。また、脳血流の低下を見出したが、この血管壁変化との関連について今検証し、血管拡張性の低下をもたらしていることを見出し、それがカンデサルタン投与で改善する事も見出した。この視点から、脳内タンパク質のホメオスタシスに、細胞外プロテオスタシス機構が大きな役割を果たしていることを明確としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳小血管の加齢性変化と類似するモデル動物の作製に成功し、その血管内変化について詳細に解析を進めることが出来た。その知見に基づき、フィブロネクチンを中心とするECMが重要であることを見出し、その変化が得的であることを網羅的プロテオミクス解析で検証できた。さらにその改善方法も見出した現時点で、予定通りに遂行しており、大きな問題はない。ヒトでの篩板の解析が予想以上に難航しており、この解析については、方針を変更し、脳内タンパク質動態の解析をまず、このモデルマウスを用いて行う。
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今後の研究の推進方策 |
ECMの変化によるマトリゾームの異常が、血管機能に与える影響を、さらに詳細に検討する。また見出したカンデサルタンがタンパク質プロファイルに与える影響をより詳細に検討する。さらに、それにより脳内のタンパク質動態にどのような変化を与えるか、加齢により蓄積する主要蛋白質について検証をすすめる。この視点から、脳内タンパク質のホメオスタシスに、細胞外プロテオスタシス機構が大きな役割を果たしていることを明確としたい。
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