研究課題/領域番号 |
19H01051
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高橋 勇人 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40398615)
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研究分担者 |
谷口 智憲 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40424163)
山上 淳 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80327618)
舩越 建 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80365353)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 免疫制御機構 |
研究実績の概要 |
免疫寛容機構の解明は自己免疫疾患の制御に役立つだけでなく、免疫寛容機構が障害となっているがん免疫療法の強化に直結する。本研究計画では、申請者が独自の実験系で同定した新しい二つの免疫制御機構に焦点を当て、その分子機構を解明することで自己免疫皮膚疾患および悪性腫瘍の治療に応用することを目的としている。 1)末梢性免疫寛容機構の同定 自己反応性T細胞を野生型マウスに投与するとマウス内の免疫寛容機構により消滅したが、その機構はTreg細胞を消滅させると破綻することからTreg依存的であった。Foxp3変異マウスを用いた解析結果から、Foxp3の機能をほぼ失ったTreg細胞でも同機構は機能しており、変異Treg細胞の遺伝子発現解析からTregに発現する分子Xが免疫寛容機構に重要であることがわかった。自己反応性T細胞を野生型マウスに二回投与すると、二回目には別の機構でT細胞は消滅し、同機構はTreg依存的でないことがわかった。責任細胞集団を同定するため、遺伝子改変マウスを用いた実験から樹状細胞やマクロファージが責任細胞ではないことがわかった。 2)コレステロール代謝の腫瘍免疫における役割の解明 本研究では、コレステロールの代謝に関連する分子Yが腫瘍免疫に対して負の働きを示すと想定している。実際に腫瘍細胞をマウス皮下に接種し、免疫チェックポイント阻害療法を施した場合に、分子Yを欠損させると抗腫瘍免疫が増強することが確認できた。分子Yのレポーターマウスを作成しており、今後、腫瘍モデルにおける分子Yの発現状況を確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に設定した研究計画は概ね遂行できており、期待どおりの成果があがっているため。
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今後の研究の推進方策 |
二つのテーマについて、それぞれ下記のような方針で研究を推進していく。 1)末梢性免疫寛容機構の同定 自己反応性T細胞を野生型マウスに投与し消滅する実験系において、初回投与時に観察される免疫寛容機構は分子Xの同定まで至ることができている。今後は、二回投与する実験モデルに集中して、作業を進める。特に自己免疫T細胞が消滅するのに必要な責任細胞の同定を進める予定である。 2)コレステロール代謝の腫瘍免疫における役割の解明 分子Yを欠損させると抗腫瘍免疫が増強する実験結果を確実にしていく予定である。また、分子Yのレポーターマウスを用いた解析を進め、腫瘍モデルにおける分子Yの発現細胞を同定し、機能を検証していく予定である。 以上のような方針で、本研究計画全体の目標の達成に向かって、効率良く研究を進めていく。
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