研究課題
扁桃摘出患者1,188例の術前に採前含嗽検体において、高リスク型HPV DNAが32例で検出され、うち3例でHPV16 DNAが検出された。また、5例で高リスク型HPV mRNAが検出され、うち1例でHPV16 mRNAが検出された。高リスク型HPV咽頭感染を認めた32例の摘出扁桃は、前癌病変を同定するために保管している。前癌病変の摘出のために摘出扁桃の薄切連続切片の作製が必要となるが、その作製条件の最適化を行った。薄切連続切片の作製には膨大な時間を要するため、今後先ず含嗽検体でHPV16 DNAおよびmRNAが陽性の症例について作製して前癌病変の検索を行い、その後順次残りの扁桃摘出標本について検討を進めて行く。放射線単独療法で加療するHPV関連中咽頭癌において10 Gy終了毎に、そして治療終了後3ヶ月の治療効果判定時、経過観察の受診時に経時的にcirculating tumor HPV DNA (ctHPVDNA)を定量し、治療中のクリアランスプロファイルを解析した。治療の進行に伴いctHPVDNAが同定できる症例が減少すること、またctHPVDNAが同定できる症例において遺残・再発を来す症例が占める割合が治療の進行に伴い増加し、治療晩期では100%に達することを明らかにした。治療終了後の再発サーバイランスにおいて、画像検査により再発が臨床的に証明されるずっと以前からctHPVDNAが検出されることを明らかにした。また、手術症例においては、転移リンパ節に節外浸潤を認める際には術後ctHPVDNAは術前と比べ減少するものの消失せず、術後放射線療法後に消失することを明らかにした。即ち、ctHPVDNAの治療中モニタリングにより治療強度の最適化・個別化治療を成し得ること、そして治療後モニタリングにより再発の早期発見・介入による予後の改善を成し得ることを明らかにした。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: - ページ: -
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