研究課題/領域番号 |
19H01069
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
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研究分担者 |
藤原 千春 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (00755358)
柏木 陽一郎 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (20598396)
岩山 智明 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (80757865)
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90524984)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 侵襲性歯周炎 / GWAS / エクソームシークエンス |
研究実績の概要 |
本研究課題は、1、国内の歯科系大学と連携することにより、侵襲性歯周炎患者のゲノム検体数の拡充を図ること、2、得られた侵襲性歯周炎患者からの検体のgenome情報からゲノムワイドアプローチ (GWAS) を用いて歯周病の発症・進行にかかわる候補遺伝子を抽出することを目的とする。さらに、3、同疾患関連候補遺伝子の発現並びに機能を解明することを目的としている。令和2年度の研究成果について以下に報告する。 1) 本研究への参加同意が得られた国内の歯科系大学において、本研究遂行に必要なヒトゲノム臨床研究計画書の申請を行い、承認を得た。2) 共同研究機関である国内の歯科系大学において、侵襲性歯周炎患者のリクルート及びゲノム採取を目的とした採血を実施した。3)共同研究機関より送付された検体からDNAを精製し、エクソームシークエンス解析を行った。4) これまでのバイオインフォマティクス解析より同定された侵襲性歯周炎の疾患関連候補遺伝子であるParaoxonase 1 (PON1)遺伝子の一塩基多型 (SNP)(rs854560) について、歯根膜細胞における機能解析を行った。その結果、歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化に伴い、PON1の発現が上昇することを見出した。さらに、PON1 SNP (rs854560) はPON1野生型と比較して、歯根膜細胞の分化をより促進させることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内の歯科系大学において侵襲性歯周炎患者のリクルートおよび採血を開始することができた。得られた検体より、DNAを精製し、エクソームシークエンス解析を遂行することで、ゲノムデータベースを拡充することができた。さらに、侵襲性歯周炎疾患関連遺伝子候補の一つであるPON1の遺伝子多型が歯根膜細胞の機能に及ぼす影響の一端を解明した。
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今後の研究の推進方策 |
国内の歯科系大学において、侵襲性歯周炎患者の採血を引き続き行い、その検体数の拡充を目指す。そして、これら検体より得られたゲノムDNAを用いてエクソーム解析を行い、データベースの拡充を図る。得られた結果をGWAS解析することにより、侵襲性歯周炎疾患関連候補遺伝子を同定する。これまでのバイオインフォマティクス解析で新たに抽出された脂質代謝関連遺伝子LIPAの遺伝子多型が歯根膜細胞の機能に及ぼす影響について検討する。さらに、バイオインフォマティクス解析で新たに抽出された侵襲性歯周炎の疾患関連候補遺伝子CLSPNの遺伝子多型に関する機能解析を推進する。
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