研究課題/領域番号 |
19H01076
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
祖父江 友孝 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50270674)
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研究分担者 |
中山 富雄 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 部長 (60501822)
加茂 憲一 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (10404740)
伊藤 ゆり 大阪医科大学, 研究支援センター, 准教授 (60585305)
福井 敬祐 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (50760922)
片野田 耕太 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 部長 (00356263)
近藤 尚己 京都大学, 医学研究科, 教授 (20345705)
岡見 次郎 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 呼吸器外科主任部長 (40538857)
藤阪 保仁 大阪医科大学, 医学部, 特別職務担当教員(教授) (50411369)
中谷 友樹 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (20298722)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 健康格差 |
研究実績の概要 |
2020年度は肺がんの自然史を表現する日本版の肺がんマイクロシミュレーション(MS)モデルの枠組を構築した。日本版MSモデルに必要なデータについて入手・解析するために必要な申請の準備を行った。研究集会を5月、12月に行い、2020年度の研究進捗状況について情報共有し、今後の研究計画を確認した。 A. MSモデルの構築:米国CISNETの先行研究の肺がん自然史モデルをもとに、日本版肺がん自然史モデルを作成した。米国版モデルでは日本の肺がん対策にフィットしない部分もあるため、改良を加えている。 B. 予防(たばこ対策の効果):米国CISNETの肺がんモデルで使用されているSmoking History Generatorを国民生活基礎調査データにより日本の状況を再現し、MSモデルに組み込むデータを作成した。 C. 検診(胸部X線検査、低線量CT検査の効果):日本で実施された過去の胸部X線の住民検診や低線量CTを使用した住民検診コホートのデータをもとに利益・不利益の基礎データや国民生活基礎調査など、一般住民の検診受診率に関するデータを入手する準備を行った。 D. 治療(分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤等の普及の効果):過去~現在までの肺がん治療およびその効果の変遷を性別・年齢階級別・組織型別・分子マーカー別に検討するために、がん登録データやレセプトデータの利用申請の準備を行った。 E. 健康格差:現在の日本における肺がんアウトカムや喫煙率・検診受診率の格差について、人口動態統計、がん登録資料、国民生活基礎調査等の公的統計を用いて分析し、基礎データとするために各種公的統計の分析をするための申請手続きを行った。既に入手済のデータや公開データを用いて、主要ながん種別死亡率および肺がんの年齢別格差のトレンド、健康寿命・平均寿命の格差に関する報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肺がんの自然史を表現するマイクロシミュレーション(MS)モデルの構築および喫煙状況のシミュレーションの分析に関しては、米国CISNETでの先行モデルを参考に日本版のモデルとして適用し、予定通り進捗しているが、より精緻なデータを用いるなど、さらなるブラッシュアップが必要である。がん対策におけるMSモデルの基本的な構築方法や活用事例をまとめた原著論文を報告した。 検診・治療・健康格差については人口動態統計、全国がん登録等の各種公的統計データの入手の際に、倫理審査を経る必要があり、各種書類作成および手続きに時間を要しているため、やや遅れている。しかし、これまでに入手しているデータや公開データを用いた分析により、基礎資料を作成し、各種関連学会や論文発表・書籍出版により報告を行った。 2020年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響で対面での集会は困難であったが、Web会議ツールを用いて、計2回の研究集会および1~2か月に1回のチームミーティングを行い、進捗を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、日本における肺がん予防・検診・治療に関連する各種公的統計および臨床情報を入手し、日本版の肺がんMSモデルをさらにブラッシュアップさせる。基礎となる資料の整備及び、MSモデルに入力するために、肺がん予防・検診・治療に関する社会経済指標による格差の各種エビデンスについて、分析および公表していく必要がある。また、各種統計資料の申請手順に準じて、利用申請を行っていくが、本研究で想定している必要なデータの粒度で入手できない可能性もある。その場合には入手できた統計資料を用いて柔軟に分析・公表を行う。 また、研究を推進するためには、全体の年2回の研究集会に加え、各チームミーティングを定期的に行うとともに、メーリングリストやファイル共有システムを活用し、円滑に共同作業及び進捗管理を行っていく。
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