研究課題
基盤研究(A)
本研究の学術的な「問い」は、環境医学領域における微量元素研究のブレークスルーをいかに図るかであった。このため、メタロミクスの概念に着目し、環境医学領域におけるメタロミクス手法の開発と応用を推進してきた。ヒト集団を対象とする微量元素の健康影響に関する疫学研究と最新の分析手法とを統合し、各種微量元素について①複数の元素を同時に、②生体内のどこに、③どのような化学形態・同位体比で分布しているかを網羅的・総合的に明らかにする手法を確立することを検討した。また、各種の測定法の開発と改良を進めるとともに、これを補完する実験研究により、各種微量元素の生体機能メカニズムの解析手法を開発した。
社会医学、看護学およびその関連分野
メタロミクスは、生物の複製・機能・代謝機構の解明に貢献できるとされる。メタロミクスの対象となる物質の総体は、メタローム(metallome)と呼ばれる。今回は、環境医学領域でのメタロミクス手法の開発と応用の推進により、微量元素研究のブレークスルーを目指してきた。環境医学領域では、各種微量元素の生体影響とそのメカニズムが重要なトピックスの一つである。しかし、これまでの研究では、単元素の解析が主体であり、臓器レベルにとどまることが多かった。本研究により、環境中の各種微量元素が生体に及ぼす影響の解明のために、さらに高次元の解析の端緒を提示できたと考える。