研究課題/領域番号 |
19H01083
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
松井 健志 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究支援センター, 部長 (60431764)
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研究分担者 |
井上 悠輔 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (30378658)
高野 忠夫 東北大学, 大学病院, 特任教授 (40282058)
永水 裕子 桃山学院大学, 法学部, 教授 (50392501)
田代 志門 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50548550)
山本 圭一郎 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (50633591)
伊吹 友秀 東京理科大学, 理工学部教養, 講師 (70713014)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 研究倫理 / 社会的弱者 / 生殖補助・周産期 / 臨床研究 / リスク評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、最近の世界的な医療研究開発・政策の焦点となりつつある小児希少性・難治性疾患や遺伝性疾患の患者など、これまでは「社会的弱者」とされ、保護の対象として臨床研究から外されてきた者、とりわけその中でも小児や「未生の存在」である胎児を中心に、これら社会的弱者を積極的に臨床研究の被験者として用いる時代に対応した、研究倫理の新たな倫理的・法的原理基盤および倫理審査の判断基準等について検討することにある。本年度は研究の初年度となるため、研究成果は限定的である。まず本年度は、これらの「社会的弱者」について、先行研究を踏まえて基本的概念の整理を進めるとともに、特に最近国際的にも始まってきている胎児治療臨床研究の実際とそこでの具体的な倫理的課題や法的課題を知るために、胎児治療研究を行っている数少ない専門家を招いた研究会を開催し、情報収集を図った。また、米国立衛生研究所クリニカルセンター・バイオエシックス部門との連携を進め、胎児治療臨床研究における倫理的課題について、今後の共同研究への発展を含めて意見交換を行った。これらと並行して、1970年代から1980年代に米国において繰り広げられた、胎児研究をめぐる倫理的議論に関する資料収集とレビューを進め、現代の問題を考えるうえでの手掛かりを探る作業を行った。さらに、ゲノム編集児を誕生させた臨床研究事件を事例として、ヒト受精胚におけるゲノムへの介入行為がどのような倫理的問題を生じるのかについての検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度末手前まではほぼ順調に研究を進めることができた。しかし、2月以降はCOVID-19流行による影響を受け、次年度を含めた研究班会議の開催や班員スケジュールの確保、海外研究協力者との研究相談、および関連学会への参加等の目途が立っていない。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19流行による研究環境・活動に大きな制約を来しており、班員間での討議や情報交換に支障が出るとともに、今後の状況次第では予定している社会調査等の延期や中止も検討する必要がある。そのため、今年度は班員それぞれが在宅勤務等でも可能な課題に取り組むこととする。具体的には、主に理論・原理研究を進めることになるであろう。先ずは、過去1970年代~1980年代に英米圏において僅かではあるが積み上げられたfetal researchでの倫理性をめぐる議論を詳細に振り返ることで、「未生の存在」を対象とする今日的な臨床研究でのリスク・ベネフィット評価の在り方や、研究における「未生の存在」の位置づけ等について、理論的な見直し作業を進めていくことを考えている。
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