研究課題/領域番号 |
19H01086
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
多賀 厳太郎 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (00272477)
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研究分担者 |
佐治 量哉 玉川大学, 農学部, 准教授 (90453670)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 発達 / 脳 / 腸 / 乳児 / 自発活動 |
研究実績の概要 |
(1)脳の自発活動と代謝 生後2~3ヶ月児(N=32)の睡眠中のEEG計測を行い、脳波、心拍数、体動についての分析を進めた。また、神経・グリア・血管の動力学モデルを構築し、シミュレーションを行った結果、様々な生理データの周期な変動が、系全体で生成されるリミットサイクルアトラクターによって再現できることが明らかになった。 (2)脳腸相関 睡眠中の3ヶ月児の乳児(N=18)の頭部、腹部、下肢筋肉において、fNIRSによる組織の酸素化動態の同時計測を行った。前頭17チャンネル、側頭左右各7チャンネル、左腹部の12チャンネルでのデータを取得できた児において(N=6)、酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)の変動の位相差を示すhemoglobin phase of oxygenation and deoxygenation (hPod) を算出した結果、頭部については逆位相傾向であったが、腹部に関しては同位相傾向であった。また、oxy-Hbの変動について、チャンネル間の時間相関を調べたところ、頭部内・腹部内の相関に比べて、頭部腹部間の相関は弱かった。 (3)腸内細菌と脳の相互作用 2名の乳児を対象に、生後3ヶ月から9ヶ月にかけて、繰り返し便を採取し(それぞれ、23回、62回)、次世代シークエンサーによる遺伝子配列を決定する手法での腸内細菌叢の同定を行った。これまでに報告されている腸内細菌叢の特徴と同様な傾向と、個人に特有の動的な変化が見られた。また、5名の乳児において、生後2ヶ月と3ヶ月時の2回、便より腸内細菌叢の同定を行った。また、便を採取した日の睡眠中にfNIRSとEEGの同時計測を行った。腸内細菌叢とfNIRSデータの関係性について分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年3月より、コロナ感染症対策のため、計画していた乳児の脳の計測が中断している。
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今後の研究の推進方策 |
乳児を対象とした研究室での脳の計測が、3月から中断しており、感染症対策のため、再開の見通しがたっていない。昨年度に取得したデータの解析やシミュレーションの研究については、予定通りに進める。一方、予定していた脳の計測期間の変更、腸内細菌叢データの取得方法等の再検討等を行い、研究目的を達成できるよう工夫を行う。
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