研究実績の概要 |
データ駆動型材料研究のデータ科学の基盤技術に関する研究を実施した.今年度の研究成果の概要は以下の通りである. (1) 関係型出力変数を予測する機械学習のアルゴリズムを開発した.分子の光吸収スペクトルや物性の温度依存性曲線,材料組織の電子顕微鏡画像等,材料研究における関数型出力変数を予測する深層カーネル回帰の手法を開発した(Iwayama et al., J. Chem. Inf. Model. 62, 20, 4837-4851 (2022)). (2) 機能性分子と合成経路を同時に設計するための機械学習アルゴリズムを開発した(Zhang et al., Sci. Technol. Adv. Mater., in press). (3) 任意の化学組成が与えられたときに,安定・準安定状態の結晶構造を予測する機械学習アルゴリズムを開発した(Kusaba et al., Comput. Mater Sci. 211, 111496 (2022), Liu et al., submitted).従来の結晶構造予測では,第一原理エネルギー計算を多数繰り返す必要があり,単位胞内に30個以上の原子を含むような大きな系には適用できなかった.提案したショットガン法は,従来法に比べて,計算負荷が5~10倍以上少なく,予測精度も2~6倍高い. (4) 全原子古典分子動力学法(MD計算)による高分子物性計算を全自動化するソフトウェアRadonPyを開発した(Hayashi et al., npj Comput. Mater. 8, 222 (2022)).RadonPyは,高分子材料の繰り返し単位の化学構造と重合度,温度などの計算条件を入力とし,アモルファスポリマーや高分子溶液などの系に対し,熱物性や光学特性を含むさまざまな物性を自動計算する.
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