研究課題
本研究の目的は,バーチャルリアリティ(VR)空間で教師と学習者が一つの身体(融合身体)を使用する新しい身体スキル伝達システムを実現することである.主観視点映像や多感覚情報提示を利用した身体スキル伝達手法が提案されているが,受動的な体験になりやすく,自らの身体のどの部位をどの程度動かすべきかという身体に関する潜在的知識(身体図式)の獲得が難しい.この問題に対し,VR空間で自ら身体を繰っている感覚(行為主体感)を保った融合身体で動作を行えば,身体を通じて運動意図と運動結果が学習者に伝えられて身体図式が更新され,教師の身体スキルを学習者に伝達できると考えた.これまでの研究実績として,二人のユーザの動きの荷重平均を取る融合身体システムを構築した.このシステムを用いた基礎実験により,自らの動きに対する荷重が低く,融合身体に他者の動きが多く反映されるような状況においても,行為主体感は高く見積もられることを明らかにした.また,身体の見た目が,体性感覚を通じて知覚される実運動と視覚を通じて知覚される見かけ上の運動とのずれの気付きやすさに影響を与えることを示し,融合身体システムにおけるアバタの表示方式の指針を確立した.加えて,ダンスのような身体動作を学習する系において融合身体システムを使った場合の予備検討をおこない,ユーザフィードバックを収集した.本研究を発展させた研究が基盤研究(S)に採択されたため,本研究は本年度において終了する.上記成果は基盤研究(S)での研究で今後も活用をしていく.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics (TVCG)
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10.1109/TVCG.2020.2964758
arXiv