研究課題/領域番号 |
19H01137
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
加藤 昇平 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70311032)
|
研究分担者 |
赤津 裕康 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00399734)
渡辺 宏久 藤田医科大学, 医学部, 教授 (10378177)
高野 映子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 健康長寿支援ロボットセンター, 研究員 (60778637)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 認知症スクリーニング / 医療・福祉サービス / 発話音声・脳血流解析 / 前頭側頭葉変性症 / 地域多様性 |
研究実績の概要 |
本申請研究課題では、高齢者の発話音声ならびに認知課題遂行時の脳血流データを解析することで認知症の臨床診断ラベルと高い一致度を持つ認知症の早期スクリーニングの基本原理と基礎アルゴリズムを発展させることで、認知機能障害の疾患・地域多様性の横断的研究を展開する。2021年度は、以下の研究を実施した。 疾患多様性の研究項目においては、前頭側頭葉変性症 (FTLD)とよばれるアルツハイマー型とは異なる疾患タイプのスクリーニングを試みた。FTLDは疾患サブタイプである、PNFA、bvFTDmSDに分類して臨床データを収集し、これに加えて、FTLDおよびFLTDと病態の連続性が指摘されている筋萎縮性側索硬化症(ALS)も解析対象に加えた。研究分担者および連携研究者の協力の下、名古屋大学医学部附属病院ならびに大阪大学医学部附属病院、堺市浅香山病院にて臨床データと音声記録を収集した。2021年度は、新たに42件のデータが追加され(FTLD5(PNFA1、bvFTD1、SD3)、AD13、ALS14、HC10)、合計198件のデータ(FTLD25(PNFA6、bvFTD6、SD13)、ALS61、AD30、HC82)で研究を実施した。風景画について説明する自由発話課題の発話音声の言語的特徴に着目し、初年度に検討した音響的特徴とあわせてアンサンブル学習を実施することでFTLDの簡易識別モデルを試作した。加えて、WAB失語症検査における復唱・音読課題の回答音声の言語的特徴を抽出・ 分析し、初年度に検討した音響的特徴と課題別アンサンブル学習を実装することで、FTLDおよびALSの検出モデルを試作した。 地域多様性の研究項目としては、名古屋市鳴子地区、豊田市足助地区、豊橋市の地域在住高齢者を対象に6軸加速度センサーを足首部位に装着した歩行運動から、フィジカルフレイルを検出するシステムの開発を検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 臨床データの採取に欠かせない認知症専門医療機関との連携はうまく進んでおり、前頭側頭葉変性症(FTLD)および神経変性の原因蛋白として病理の連続性が指摘されている筋萎縮性側索硬化症(ALS)の高品質な臨床データが収集できている。加えて、研究分担者との定期的な進捗報告や議論が実施できており、チーム体制で研究課題に取り組むことができている。 一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大により、海外における研究調査や機材調達に制約が発生し、研究遂行に遅延 を余儀なくされた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、高齢者医療の専門医療機関、および、認知症専門医、言語・聴覚の評価と機能回復のスペシャリスト、ならびに、高齢者の協力が欠かせない。今後も、これらの連携機関・実験協力者と蜜にコミュニケーションを取り、研究を円滑・効率的に進めてゆきたい。
|