研究課題/領域番号 |
19H01139
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
諏訪 博彦 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (70447580)
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研究分担者 |
栗原 聡 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (30397658)
荒川 豊 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (30424203)
安本 慶一 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40273396)
藤本 まなと 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80758516)
水本 旭洋 大阪大学, 情報科学研究科, 特任助教(常勤) (80780006)
松田 裕貴 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (90809708)
中村 優吾 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (60809721)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 災害情報システム / インフラレス / マルチモーダルセンシング / 自律分散処理アーキテクチャ / 社会情報システム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,インターネット壊滅時でも持続可能な災害情報流通システムを構築することである.このシステム構築に際し,時間的・空間的・内容的に網羅性ある情報の流通(課題1),インフラレスな自律連携情報処理アーキテクチャ(課題2),日常的なアプリケーションとのシームレスな接続(課題3)という3つの課題が存在する. 本年度は,前年度に引き続き課題1に取り組んだ.課題1では,マルチセンシングリソースの連携(ソーシャル/能動的参加型/受動的参加型/静的センング)により,時間的・空間的・内容的に網羅性の高い情報収集を可能とすることを目的としている.ソーシャルセンシングでは,コロナを災害に見立てソーシャルメディアへの投稿から人々の喜怒哀楽の収集を試みている.能動的参加型センシングでは,ゲーミフィケーションを用いることで空間的に網羅性の高い情報を収集できることを明らかにしている.受動的参加型センシングでは,ドライブレコーダ動画をエッジで処理することで,通信に負荷をかけずに駐停車車両を発見する手法を開発している.静的センシングでは,振動型センサを開発し,歩行や交通量を計測できることを確認している. また,課題2のインフラレスな自律連携情報処理アーキテクチャを解決するために,データ発生源に近いデバイスの計算資源を有効活用して効率的にデータを処理し,低コストかつ質の高い情報流通を実現することに取り組んでいる.具体的には,地域のIoTデバイス群の計算リソースを活用可能とするミドルウェアプラットフォームProceThingsを提案し,多数のIoTデバイス間の動的な負荷分散管理および実行を実現している.また,輸送ネットワーク最大化を題材に,ロードサイドユニット(RSU)を用いた分散型ルートプランニングシステムであるRSU-Edgeを開発している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,予定通り課題1に取り組み,各センシング手法の実現に向け,汎用的なデバイスの利用法の検討に加え,独自のデバイス開発を行っている.また,インターネット壊滅時でも持続可能な災害情報流通支援システムを構築するための要素技術の開発を継続して行っている.具体的には,ソーシャルセンシングにおける人々の心理状況の把握手法の開発,能動的参加型センシングにおけるゲーミフィケーションを用いた空間的に網羅性の高い情報収集の開発,受動的参加型センシングにおけるドライブレコーダを用いた通信に負荷をかけない駐停車車両発券手法の開発,静的センシングにおける振動センサを用いた歩行・交通量計測手法の開発があげられる. また,本年度着手した課題2においても,IoTデバイス群の計算リソースを活用可能とするミドルウェアプラットフォーム:ProceThingsや分散型ルートプランニングシステム:RSU-Edgeの開発を通じ,インフラレスな自律連携情報処理アーキテクチャの実現に向けて前進している.これらのことから,コロナ禍による成果発表の遅延などは一部あるものの,おおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き課題1・課題2に取り組む.課題1については,マルチセンシングリソースの連携(ソーシャル/能動的参加型/受動的参加型/静的センシング)により,時間的・空間的・内容的に網羅性の高い情報収集を可能とするシステムの構築を目指す.具体的には,災害発生時の避難誘導に必要な人流・混雑度の網羅的収集手法の開発や,そのデータを用いた避難所決定アルゴリズムの開発,評価のためのシミュレーション実験を行う. 課題2については,本年度の成果を踏まえ,インフラレスな自律連携情報処理アーキテクチャの実現に向けて,さらに継続的に研究を進める.
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