水圏生態系の頂点に位置する水棲哺乳類の細胞内受容体のシグナル伝達系を対象に、環境汚染物質による系の撹乱を解析し、種特異的な感受性を評価、更に種差の原因となる感受性規定因子の分子的な理解を目指す。鰭脚類・鯨類を対象種とし、多様な環境汚染物質の曝露が引き起こすシグナル伝達撹乱の全体像を明らかにし、細胞内受容体シグナル伝達撹乱の種特異的感受性とそれを規定する遺伝要因を分子レベルで解明する。 アザラシ、イルカ、クジラを代表例として、化学物質による細胞内受容体機能の撹乱を現代的な解析方法で測定しようとするものであり、膨大なデータをどのように解析するか、方策を明確に示している。具体的な標的受容体も定めつつ、全ゲノム機能もカバーする研究であり、生体濃縮、生体反応物の網羅解析で新規の生化学ルートが見つかることも期待される。
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