研究分担者 |
岩田 久人 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (10271652)
野見山 桂 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (30512686)
久保田 彰 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (60432811)
寳來 佐和子 国立水俣病総合研究センター, その他部局等, 室長 (60512689)
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研究実績の概要 |
最終年度は、1982~2016年にかけ日本沿岸域に漂着・座礁したカズハゴンドウとイシイルカのアーカイブ試料を活用し、水銀の時系列解析を実施した。その結果、イシイルカの筋肉および脳中における水銀濃度は有意な低減を示し、本種が太平洋の寒冷域に生息することを考慮すると、北太平洋における水銀負荷は経時的に軽減している可能性が考えられた。一方、カズハゴンドウでは水銀濃度に有意な変化はみられず、本種の生息域である太平洋温暖域への水銀インプットは継続していることが推察された。 また、昨年度開発した水生生物の組織試料に適用可能な内分泌かく乱化物質(EDCs)の分析法を用いて、生物移行・残留性の指標である濃縮係数(生物/環境水の濃度比: BAF)を算出し、物質・生物種別のBAFを比較解析した。その結果、トリクロカルバンとトリクロサンで濃縮性が確認され、トリクロカルバンのBAFは魚類で相対的に低値を示した一方、甲殻類、ミズムシ、環形動物、軟体動物、プランクトン、河床付着生物群では魚類の約100倍高い値が得られた。一方、トリクロサンは魚類に対してトリクロカルバンよりも約10倍高い濃縮係数を示し、甲殻類や軟体動物における値と同程度であることが明らかとなった。 さらに本年度は、瀬戸内海の二枚貝で初めて検出された3臭素化dibenzo-p-dioxins (TrBDDs)の3異性体(1,3,7-/1,3,8-/2,3,7-TrBDDs)と強い毒性を示すことが知られている2,3,7,8-TeBDDを対象に、ゼブラフィッシュ胚を用いたin vivo試験を実施した結果、ダイオキシン様の毒性は2,3,7,8-TeBDDより弱いもののTrBDDsでも認められ、2,3,7-TrBDD > 1,3,7-TrBDD > 1,3,8-TrBDDの順であることが判明した。
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