研究課題/領域番号 |
19H01172
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
羽石 秀昭 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (20228521)
|
研究分担者 |
林 秀樹 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (20312960)
池田 純一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20379176)
大西 峻 千葉大学, フロンティア医工学センター, 助教 (30706833)
上里 昌也 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (70436377)
中野 和也 宮崎大学, キャリアマネジメント推進機構, 助教 (80713833)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | マクロ病理 / マルチモダリティ / 光計測 / マイクロCT / 位置合わせ技術 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒト、小動物などからの摘出標本を対象に、複数の光学計測装置・画像撮影装置およびマイクロCTを用いて取得した情報を解析して、将来的な診断能・治療能の向上を目指す。研究内容として、それらマルチモーダルな計測を行うためのシステムを構築すること、得られた情報の処理技術を構築すること、ならびに、それら信号間の相関性や、従来のミクロな病理画像との相関性を分析することを含む。本研究は巨視と微視の間の関係を、高次マクロ病理情報を用いてホワイトボックス化することを目指すものである。2019年度から2020年度末にかけての研究業績は以下のようにまとめられる。 【ラマン分光+OCTシステムの構築と画像解析】腫瘍のマクロな情報として、ラマン分光特性およびOCT画像を取り上げ、初期検討としてこのマルチモーダルシステムを構築し、腫瘍組織および非腫瘍組織の計測を行った。その結果、各モダリティの取得信号から2つの組織で特性が異なることが確認され、腫瘍と非腫瘍判別が可能であると示唆された。 【病理標本の光学像と超音波像のマルチモーダル分析】本項では、脳腫瘍病理標本に対して、超音波装置で計測する音響特性と光学病理像との関係系を解析した。病理画像診断において腫瘍の悪性度の指標となる細胞核密度や微小血管増殖と超音波計測値の関係性に着目した。2つのモダリティで得られる特徴量間の関連性に関して知見が得られた。 【マルチバンド光学像の消化器外科応用】食道がんの摘出標本に対するマルチバンド撮影を行い、分光反射率の解析を行った。このデータに基づき、特に低濃度のルゴール染色からでも、腫瘍領域の識別ができる可能性を示した。 【マイクロCTの画像解析技術】ディープラーニングを用いて3次元マイクロCT画像から血管領域を抽出する技術を開発した。この技術はマクロ病理情報を用いた網羅的検索の基礎になる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラマン分光、OCT、デジタル顕微鏡等の光学的マルチモーダルデータ収集が可能なシステムを構築した。また複数のマルチモーダル計測と解析を実施したほか、マイクロCT画像解析技術も構築できた。さらに食道がん摘出標本を用いた研究から治療支援につながる技術を提示することができた。これらの業績は2つの高インパクトファクター論文誌にも掲載になり、概ね順調と言える。
|
今後の研究の推進方策 |
【光学系計測データの解析】生体への展開を考え、実験が容易なヒト皮膚のディジタル顕微鏡画像、OCT画像および反射型共焦点顕微鏡画像の解析を行い、情報の融合方法を研究する。 【マイクロCTによる再構成と解析】2020年度に導入したマイクロCTを用い、機械学習による超解像技術の研究開発を進める。またマイクロCTの画像解析として、大腸標本を対象とした微小血管およびリンパ管の3次元可視化技術これら脈管の抽出アルゴリズムを改善する。 【データ分析・機序分析】マルチモーダルなデータから、高次マクロ病理情報と、ミクロな特徴量との関連性を分析する。
|