研究課題/領域番号 |
19H01181
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
島田 裕之 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, センター長 (00370974)
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研究分担者 |
米田 哲也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (20305022)
土井 剛彦 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 室長 (60589026)
ベ 成琉 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (80707894)
李 相侖 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 室長 (90466194)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 頭部MRI / 脳内アミロイドβ / MRIバンク / preclinical AD / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
2020年度は高齢者671名のT1強調3D画像及びT2強調3D画像が取得できた。そのうち212名からは拡散テンソル画像、安静時機能的MRI、位相差強調画像化法(PADRE)によるMRIデータが取得できた。診療情報明細書から認知症関連疾患を抽出して毎月の認知症発症有無をデータベース化した。 PADRE解析においてAAL-atlasを個人脳空間に逆マップした脳領域マップを作成し、MPRAGEより作成した組織確率マップを適用して皮質マスクを得た。作成した位相画像に皮質マスクを演算し得られた位相分布にDouble Gaussian Analysisモデルを適用した。得られた2つのGauss分布の交点としてthresholdを各TEで算出した。ThresholdとTEの間に線型モデルを適用することで、thresholdの変化率を取得し、脳領域ごとのアミロイド定量値として採用した。単変量解析の結果、上側頭回のPADRE定量値と、海馬および側頭葉の容積において、アミロイドβ蓄積の有無による有意差が認められた。これら3変数を説明変数、年齢と性別、頭蓋内容積を調整変数として同時投入したロジスティックモデルを作成し、アミロイドβ蓄積の判別能を検討した結果、曲線下面積は0.78であった。判別能は未だ十分とはいえず、線形モデルのfitting精度の向上を再検討する必要がある。 予測精度の向上のためにディープラーニング(使用モデル:3次元畳み込みニューラルネットワーク)を用いてMRI画像からPET画像で計測した脳内アミロイドβの集積程度を推定するモデルを検討した。今年度は小規模のデータセットを利用し、推定モデルの実施可否について検討を実施した。同データ構造にてモデル作成・演算が可能である確認ができたため、次年度は大規模データに検討モデルを適応し予測精度の評価およびパラメーターの調整等を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度上半期は新型コロナウイルス感染症防止のために予定されていたMRI撮像が中止になったため目標人数が達成できないことが懸念された。しかし、下半期にMRI使用枠が追加確保できたため、今年度の撮像目標は達成できた。また、PADRE解析も順調に進められ各領域のアミロイド定量値が取得できた。ディープラーニングを用いたMRI画像からPET画像で計測した脳内アミロイドβの集積程度を推定するモデルを検証するための環境が構築できた。これらの実績から本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も引き続き地域在住高齢者約400名を対象にT1強調3D画像、T2強調3D画像、DTI、rs-fMRI、PADREを撮像し、MRIバンクを構築する予定である。 また、2021年度には脳画像からディープラーニングモデルによる認知症発症予測モデルの精度向上を図り、正確度90%以上のモデルの構築を目指す。
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