• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

近世ヨーロッパにおけるキリスト教的ストア主義の生成と展開に関する人間学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19H01182
研究機関筑波大学

研究代表者

津崎 良典  筑波大学, 人文社会系, 教授 (10624661)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード新ストア主義 / キリスト教的ストア主義 / シャロン / 意志
研究実績の概要

本研究課題の目的は、17世紀初頭から中葉までのヨーロッパにおける《新ストア主義》の展開は、リプシウス、デュ・ヴェール、そしてシャロンに代表される《キリスト教的ストア主義》に対する多種多様な陣営からの応答の軌跡として理解できるのではないか、という仮説の検証である。そのためには、まず《キリスト教的ストア主義》それ自体の具体像を精緻に描出する必要がある。そこで四年目にあたる2022年度は、シャロン『知恵について』(1601年;1604年)において、古代ストア派の諸言説がキリスト教的な観点からどのように修正されたのか、という問いの解明に傾注した。とりわけ、「真の知恵とは、理性の命に従う、意志のまっすぐで堅固な態勢である」(II,3,12)とするシャロンの思想のうちに、各人に本来的に帰属するものとして古代ストア派において重要な意味を与えられた「意志」との近似性を分析することが主軸となった。ただし、シャロンにおける「意志」論は、その一方で、16世紀半ば以降、カルヴィニズムから出て個人主義・神秘主義に傾倒するオランダのキリスト教思想家(「教会なきキリスト者」)がおもに奉じた「精神において人は一切を判断し、誰からも判断されない」(パウロのコリント信者への手紙)という文言に集約される人間論に定位するため、《キリスト教的ストア主義》の典型例をなすものであることが理解された。このような理解を得たことが、今年度の研究成果の意義である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

シャロン『知恵について』は浩瀚であるため、その内容分析に想定以上の時間がかかっているため。

今後の研究の推進方策

シャロン『知恵について』の内容分析をスピードアップさせ、昨年度までに一定の内容分析を終えたリプシウスとデュ・ヴェールの思想との比較対照を行い、最終的に、《キリスト教的ストア主義》に対する多種多様な陣営からの応答の軌跡に関する一定の見通しを立てることに傾注する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Taiken, keiken et exercice selon Arimasa Mori, lecteur de Descartes2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshinori Tsuzaki
    • 雑誌名

      Studies in Philosophy

      巻: 48 ページ: 37-50

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] 啓蒙思想の百科事典2023

    • 著者名/発表者名
      津崎良典ほか
    • 総ページ数
      692
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      9784621307854

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi