研究課題/領域番号 |
19H01186
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
Tobias Bauer 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (30398185)
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研究分担者 |
床谷 文雄 奈良大学, 文学部, 教授 (00155524)
山縣 文治 関西大学, 人間健康学部, 教授 (10159204)
阪本 恭子 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (20423098)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 赤ちゃんポスト / 内密出産 / 出自を知る権利 / 生殖補助医療 / ignorance studies (無知学) |
研究実績の概要 |
本年度は、交付申請書に記載した研究実施計画に基づき、近年の日独両国における匿名による子どもの委託と生殖補助医療をめぐるそれぞれの議論・現状・法律について、「出自を知る権利」の観点から分析を行った。 ① 資料調査・収集、重要なテキストの抄訳・要約・分析 本プロジェクトの一つの柱となっているテーマ「赤ちゃんポスト」について、とりわけ「出自を知る権利」の観点からの日独両国の重要文献の調査に取り掛かり(次年度以降も継続予定)、各メンバーの担当分野の視点から個別の研究を進め、その成果を複数の論文等に発表した。また、共同研究として、ドイツの「内密出産制度」をめぐる議論における中核的な資料であるドイツ連邦家族省の『「妊婦支援の拡大と内密出産の規定のための法律」に基づいて実施した全ての取り組みと支援の効果に関する評価調査』の分析を進め、日本の当該議論にも参考になり得るという観点から、その抄訳を発表した。 ② ドイツ現地調査の実施 本プロジェクトのメンバー3名がドイツ現地調査を実施し、ドイツにおける匿名による子どもの委託および生殖補助医療にかかわる次の団体や専門家と意見交換を行った。本研究の今後の方向性についての重要な助言と情報の入手に加え、国際共同研究に向けた打ち合わせも行うことができた。profamilia福祉事業団の連邦本部事務局、ドイツ倫理審議会委員Petra Thorn、非配偶者間人工授精で生まれた子どもの自助グループSpenderkinder、非配偶者間人工授精で生まれた子どもを持った親の会DI-Netz、生殖補助医療の斡旋会社Dein Kinderwunsch等。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究プロジェクトは、概ね当初の予定通りに進捗している。本プロジェクトのメンバー間で随時連携とりながら、令和1年度に予定していた資料調査・収集、重要なテキストの抄訳・分析、ならびにドイツ現地調査を実施した。さらに、そのドイツ現地調査において、現地の研究者や関連団体との新たな関係の構築や連携の強化につなげることができ、期待以上の本格的な国際共同研究の可能性を見出すことができた。とりわけ、ドイツのブラウンシュヴァイク大学の研究者との連携により、共同調査の可能性をより具体的に検討できる状況になった。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、研究計画調書に記載された研究計画に基づき、研究を継続していく予定である。令和2年度においては、匿名による子どもの委託と生殖補助医療における出自を知る権利に関する比較研究を中心として、法学・倫理学・福祉学の各分野からの研究成果を踏まえて、当問題の日独比較の全体像にまとめ、「出自を知る権利」の総説をまとめる予定である。 また、ドイツのブラウンシュヴァイク大学の研究者との連携のもと、ドイツの非配偶者間人工授精で生まれた子どもの自助グループのメンバーを対象とした社会調査を行い、ドイツにおける「出自を知る権利」の現状に関するデータを取得し、日本の状況と比較するための資料とすることを検討している。
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