研究課題/領域番号 |
19H01187
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
佐金 武 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (40755708)
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研究分担者 |
鈴木 生郎 日本大学, 文理学部, 准教授 (40771473)
FRISCHHUT Akiko 国際教養大学, 国際教養学部, 助教 (50781853)
森田 邦久 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (80528208)
小山 虎 山口大学, 時間学研究所, 講師(テニュアトラック) (80600519)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 現代時間論 / 現在主義 / 時間の空間化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「時間の空間化」とそのアンチテーゼとしての現在主義という対立構図のもと、現代時間論の根本的刷新を試みることにある。研究期間1年目の2019年度は、現在主義を現在であるもののみが存在するという単なる存在論のテーゼとしてではなく、時間の空間化に対するアンチ・テーゼとして再定義することを試みる。近年の論争状況を踏まえると、現在主義とは何かに関してこれといった統一見解はもはや存在しないようにも見える。たしかに、諸々の問題に対処する過程で、現在主義の考え自体が理論的に多様化したことは否めない。本プロジェクトではまず、現在主義の真価は時間の空間化に対する真のオルタナティブとなりうる潜在的可能性を秘めていることにあるという仮説のもと、時間の空間化に対抗する「変化の理論」として現在主義の再定義を行った。 より具体的な2019年度の活動実績としては、若手研究者を中心とするミニセミナーや勉強会を定期的に開催し、研究成果の共有に努めた。国際交流の面では、年度内に比較的大きな研究大会を2回実施した。その他、国内外の主要学会や研究会等において、プロジェクトメンバーによる個別の成果発表も行われた。年度末、にわかに発生した新型コロナウィルスの感染拡大により、国際会議の現地実施や海外出張の機会は制限されつつあったものの、オンライン・ツールを活用するなど可能な限り研究成果の発信につとめた。これらの実績を基礎として、今後も引き続き研究プラットフォームとしての維持発展を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間1年目の成果としては、プロジェクトに関連する学術論文等出版物7件、学会発表等16件と高い評価に値する。このなかには、2019年度の探究課題である、時間の空間化に対するアンチテーゼとしての現在主義の再定義とその吟味が含まれる。この現在主義の定式化の是非を検討することは次年度の継続課題であるが、少なくとも議論の下地となる基本的なアイデアや共通了解は得られた。本年度開催された研究大会では、海外の招聘予定者1名が病欠となったが、その他はすべての計画をほぼ予定どおり遂行することができた。年度内に2回の比較的大きな国際学会を実施し、研究プラットフォームとしても一定のプレゼンスを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
年度末ににわかに発生した新型コロナウィルスの感染拡大により、国際交流や国内学会での情報収集および研究成果の発信等、当初予定した研究活動の多くが見直しを迫られた状況である。これらについては、オンライン・ツールを最大限活用することで可能な限り補完に努めたい。他方、研究計画とその内容に関して大きな変更はない。当初の課題設定にもとづき、計画的にプロジェクトを遂行する。
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