ゲノム編集をめぐる倫理規範の構築を目指して ー科学技術イノベーションと人間の尊厳

2021 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 19H01188
• 研究機関: 立正大学
• 研究代表者: 田坂 さつき 立正大学, 文学部, 教授 (70308336)
• 研究分担者: 島薗 進 上智大学, 実践宗教学研究科, 教授 (20143620) ; 一ノ瀬 正樹 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (20232407) ; 柳原 良江 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (30401615) ; 石井 哲也 北海道大学, 安全衛生本部, 教授 (40722145) ; 香川 知晶 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (70224342) ; 土井 健司 関西学院大学, 神学部, 教授 (70242998) ; 安藤 泰至 鳥取大学, 医学部, 准教授 (70283992) ; 松原 洋子 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (80303006) ; 加藤 泰史 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (90183780)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: ゲノム編集の生殖応用 / クリスパ―キャス９ / 出生前の子の遺伝子操作に関する親の自己決定権 / オフターゲットとモザイク / エンハンスメント / 女性の身体の実験的利用 / 想定外の事態に対する科学者の責任 / 優生思想

研究実績の概要

本研究は、日本学術会議第24期連携会員哲学委員会「いのちと心を考える」分科会委員のうち9名が参画し、第24期同分科会委員長田坂さつきを研究代表者とする。本研究は、日本学術会議の医学・医療領域におけるゲノム編集に関する2017年の提言に対して、哲学・倫理の観点からゲノム編集の倫理規範の構築を目指す提言を2020年8月4日に発出し、ゲノム編集の法規制の根拠となる倫理的論拠を提示したが、和文のみであった。そこで、提言を世界に向けて発信するために、ネイティブの哲学研究者の協力を得て英訳して、2021年10月に日本学術会議のホームページに掲載した。2021年10月には日本倫理学会でワークショプを実施した。また、医療従事者や市民とサイエンスカフェや哲学カフェを広島と横浜で実施した。また2021年10月には、BS1スペシャル　シリーズ“2030 未来への分岐点” ▽“神の領域”への挑戦ーゲノムテクノロジーの光と影ーNHKスペシャル「2030未来への分岐点 (4)“神の領域”への挑戦～ゲノムテクノロジーの光と影～」に、2020年に本科研費で招聘し東大で講演をしたジュリアン・サブレスキュ教授と本科研研究分担者島薗進が出演した。最終年度には、ゲノム編集の生殖応用の倫理問題を解明する共著書を同科研研究代表者と研究分担者で編み、2022年3月に知泉書館から出版し、この問題を広く社会に訴えた。2020年3月に、オックスフォード大学のドミニク・ウィルキンソン教授を招聘して、東京・京都・福岡で講演会を予定していたがコロナのために中止せざるを得なかったが、その講演会のためにウィルキンソン教授が執筆した原稿を邦訳して共著本に掲載している。

現在までの達成度 (段落)

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Shifting to a model of donor conception that entails a communication agreement among the parents, donor, and offspring (2022)
  • 著者名/発表者名: Tetsuya Ishii, Inigo de Miguel Beriai
  • 雑誌名: BMC Medical Ethics 巻: 28 ページ: 1-11
  • DOI: 10.1186/s12910-022-00756-1
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] The Eugenic Border Control: Organized Abortions on Repatriated Women, (2021)
  • 著者名/発表者名: Yoko Matsubara
  • 雑誌名: Japan Forum 巻: 33 ページ: 318－337
  • DOI: 10.1080/09555803.2020.1831575
  • オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Critical approaches to reproduction and population in post-war Japan. (2021)
  • 著者名/発表者名: Aya Homei & Yoko Matsubara
  • 雑誌名: Japan Forum 巻: 33 ページ: 307－317
  • DOI: 10.1080/09555803.2021.1899266
  • オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] 人の生殖への技術的介入はどこまで許されるのか？―人文学の観点から― (2021)
  • 著者名/発表者名: 安藤泰至
  • 雑誌名: 科学技術社会論研究 巻: 19 ページ: 22-31
• [雑誌論文] 「よい死」を目指すのはよいことなのか？ (2021)
  • 著者名/発表者名: 安藤泰至
  • 雑誌名: 日本エンドオブライフケア学会誌 巻: Vol.6 No.1 ページ: 13-15
  • 査読あり
• [雑誌論文] オンライン臨床哲学対話と生命倫理 (2021)
  • 著者名/発表者名: 田坂さつき
  • 雑誌名: 立正大学文学部論叢 巻: 144 ページ: 1-24
  • 査読あり
• [雑誌論文] Reactions to the National Academies/Royal Society Report on Heritable Human Genome Editing (2021)
  • 著者名/発表者名: Angrist M, Barrangou R, Baylis F, Brokowski C, Burgio G, Caplan A, Chapman CR, Church GM, Cook-Deegan R, Cwik B, Doudna JA, Evans JH, Greely HT, Hercher L, Hurlbut JB, Hynes RO, Ishii T, and others
  • 雑誌名: The CRISPR journal 巻: 3 ページ: 332,-349
  • DOI: 10.1089/crispr.2020.29106.man
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Assignment of responsibility for creating persons using germline genome-editing (2021)
  • 著者名/発表者名: Tetsuya Ishii
  • 雑誌名: Gene and Genome Editing 巻: 1 ページ: 1-5
  • DOI: 10.1016/j.ggedit.2021.100006
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] パンデミック、バーンアウト、クリニカル・エンパシー (2022)
  • 著者名/発表者名: 香川知晶
  • 学会等名: 第37回日本ストレス学会・学術総会
  • 招待講演
• [学会発表] 「優生学の何が問題か ー日本学術会議提言の議論から」 (2021)
  • 著者名/発表者名: 松原洋子
  • 学会等名: 日本哲学会
• [学会発表] 生命操作と「当事者」性―人の生殖への技術的介入はどこまで許されるのか？― (2021)
  • 著者名/発表者名: 安藤泰至
  • 学会等名: 日本哲学会
• [学会発表] 生命操作におけるデザインと排除―安楽死はなぜ生命操作の一部なのか？― (2021)
  • 著者名/発表者名: 安藤泰至
  • 学会等名: 日本生命倫理学会
• [学会発表] 日本におけるゲノム編集技術を使う生殖の正当性 提言の踏査と社会的議論に向けて (2021)
  • 著者名/発表者名: 石井哲也
  • 学会等名: 日本哲学会
• [学会発表] Safety implications of germline genome editing for genetically-related future children and the reproductive autonomy of parents. (2021)
  • 著者名/発表者名: Tetsuya Ishii
  • 学会等名: World Congress of Bioethics 2020
  • 国際学会
• [図書] 「遺伝性ヒトゲノム編集における被験者保護の倫理」 田坂さつき・香川知晶編『人のゲノム編集をめぐる倫理規範の構築を目指して』 (2022)
  • 著者名/発表者名: 松原洋子
  • 総ページ数: 290（161－184）
  • 出版者: 知泉書館
  • ISBN: 978-4-86285-358-5
• [図書] 『人のゲノム編集をめぐる倫理規範の構築を目指して』 (2022)
  • 著者名/発表者名: 香川知晶
  • 総ページ数: 277(3－27、261－268)
  • 出版者: 知泉書館
  • ISBN: 978-4-86285-358-5
• [図書] 提言「人の生殖二ゲノム編集を用いることに倫理的正当性について」in『人のゲノム編集をめぐる倫理規範の構築を目指して』 (2022)
  • 著者名/発表者名: 田坂さつき、香川知晶、安藤泰至、石井哲也、一ノ瀬正樹、島薗進、土井健司、松原洋子他
  • 総ページ数: 277（217-259）
  • 出版者: 知泉書館
  • ISBN: 978-4-86285-358-5
• [図書] 立正大学文学部学術叢書08 『臨床哲学 ー立正大学文学部哲学科での取り組ー』 (2022)
  • 著者名/発表者名: 田坂さつき
  • 総ページ数: 196
  • 出版者: KADOKAWA
  • ISBN: 978-4-04-876515-2
• [図書] 『東アジアの尊厳概念』 (2021)
  • 著者名/発表者名: 香川知晶(加藤泰史・小倉紀蔵・小島毅編)
  • 総ページ数: 544(381-387)
  • 出版者: 法政大学出版会
  • ISBN: 978-4588151163
• [図書] 命は誰のものか 増補改訂版 (2021)
  • 著者名/発表者名: 香川知晶
  • 総ページ数: 407
  • 出版者: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • ISBN: 978-4799327296
• [図書] 見捨てられる〈いのち〉を考える―京都ＡＬＳ嘱託殺人と人工呼吸器トリアージ― (2021)
  • 著者名/発表者名: 安藤泰至・島薗進（編著）
  • 総ページ数: 260
  • 出版者: 晶文社
  • ISBN: 978-4-7949-7280-4
• [図書] 東アジアの尊厳概念 (2021)
  • 著者名/発表者名: 加藤泰史・小倉紀蔵・小島毅編
  • 総ページ数: 544（1-22、25-62、544）
  • 出版者: 法政大学出版局
  • ISBN: 978-4-588-15116-3