研究課題/領域番号 |
19H01203
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
青木 滋之 中央大学, 文学部, 教授 (50569069)
|
研究分担者 |
柏崎 正憲 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 助教 (90737032)
小城 拓理 愛知学院大学, 総合政策学部, 准教授 (10733040)
下川 潔 学習院大学, 文学部, 教授 (40192116)
瀧田 寧 日本大学, 商学部, 准教授 (10784663)
武井 敬亮 福岡大学, 経済学部, 准教授 (90751090)
沼尾 恵 慶應義塾大学, 理工学部(日吉), 准教授 (20709232)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | イングランド啓蒙 / アイルランド啓蒙 / フランス啓蒙 / 啓蒙主義 / ジョン・ロック / ジョン・トーランド / 思想史 / 開かれた理性 |
研究実績の概要 |
2019年度では、本研究のタイトルにもなっている「イングランド」啓蒙と、その波及効果としての「アイルランド」啓蒙、「フランス」啓蒙とのつながりを検証した。イングランドの哲学者ジョン・ロックの『人間知性論』から、ジョン・トーランドの『秘儀なきキリスト教』という(1)アイルランドへの流れと、ベーコン、ロック、ニュートンからフランスの『哲学書簡』、さらにバークリからディドロの『盲人に関する書簡』へ、という(2)フランス思想への流れをテキスト読解から明らかにし、本研究課題である「イングランド啓蒙」の意義を検証した。 研究成果は、学会発表では、社会思想史学会のセッション「イングランド啓蒙における理性行使の徹底化──ロック『人間知性論』からトーランド理神論へ」で、本研究グループから4名が登壇して公にされたほか、個人発表によって研究会および学会で報告された。 以上の、科研費採択が採択された2019年4月から2020年3月までの活動については、「イングランド啓蒙研究会」ブログで発信している。同ブログでは、書評論文という形で、イングランド啓蒙にまつわる近年の海外の研究の紹介および議論も行ってきている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度では、科研費採択に合わせて前準備を進めてきたこともあり、スムーズに共同研究に入ることができた。本研究課題である「イングランド啓蒙への学際的アプローチ ―「開かれた理性」の復権を目指して」という当初意図したアプローチに即した形で、哲学、宗教、科学、政治といった様々な分野を横断した形で、当時のイングランド啓蒙思想の運動を総合的、(あるいは現代の言い方で言えば)学際的な視点から詳らかにしていく作業に着手することができた。社会思想史学会のセッションでは、哲学、宗教思想、政治思想という異なる専門からなる本研究メンバーによる共同発表も公にされ、個人ないし特定の領野に限定された研究者集団からなるアプローチとは一線を画した、総合的・学際的なイングランド啓蒙思想の解明につながってきている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、共同研究体制によるイングランド啓蒙という大河の思想運動についての総合的・学際的研究という、これまでの流れを継続させながら、イングランド啓蒙の他の諸相についても、時代・分野の両方面において研究を拡充させていきたい。2019年度で確認した哲学と宗教との緊密な影響関係に加えて、科学と宗教、哲学と政治、哲学と教育、といった諸相についても、17-18世紀のイングランド啓蒙に特徴的な「開かれた批判的理性」「実験科学的精神」「市民社会」「宗教への寛容」といった鍵となる概念を軸に、研究を進めていく予定である。
|