• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実績報告書

失われた古代・中世絵巻の復原的研究―作品伝来情報の検討から―

研究課題

研究課題/領域番号 19H01215
研究機関独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館

研究代表者

土屋 貴裕  独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 室長 (40509163)

研究分担者 安永 拓世  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化財情報資料部, 主任研究員 (10753642)
恵美 千鶴子  独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 室長 (60566123)
古川 攝一  独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (70463297)
井並 林太郎  独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部企画室, 研究員 (80747329)
鷲頭 桂  独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 主任研究員 (90590448)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード日本美術史 / 日本絵画史 / 文化財 / 絵巻
研究実績の概要

本研究は、天災や戦災等によって失われた日本古代・中世の絵巻を可能な限り探求することを第一の課題設定している。その上で、美術作品の伝来という観点に着目しながら、これらの絵巻を個別作品の閉じられた研究に留めることなく、広く日本絵画史のなかに位置付け、その文化史的な意義を改めて問い直すことを最終的な目的として設定した。具体的には、絵巻模本や日記等の古記録、売立目録などの調査研究を通じ、失われた古代・中世絵巻の総合的把握を目指すものである。本年度は以下の成果を上げることができた。
(1)古代中世の文献資料に記載された絵巻関係資料の抜き出しとデータ化:本研究が主な対象とする古代中世絵巻の伝来、鑑賞情報を得るためには、日記、古記録等の文献資料を博捜し、そこに記載された本文を整理する必要がある。抜き出しにあたっては、絵巻のみならず仏画、肖像画、屏風等、絵画関係の記事をピックアップし、その一部をデータ化した。
(2)東京国立博物館所蔵絵巻模本の調査:絵巻模本の多くは近世に作られたが、その制作に際して、所蔵者や伝来等の情報が記されている場合がままある。本研究では、東京国立博物館所蔵絵巻模本の悉皆調査を目指し、目録の整理、撮影、所蔵者や伝来、模写者等の情報を収集すべく、模本リストの整理を継続して行った。
(3)調査・研究の展示での公開:上記の調査・研究の成果の一部は、2021年4月より行なわれた特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」の図録、および展示解説等で公開した。
(4)シンポジウムでの研究成果公開:上記特別展にあわせ「鳥獣戯画研究の最前線」とするシンポジウムを開催し、代表者土屋、分担者古川、井並他12名の講師が研究発表し、パネルディスカッションを実施した。これらの内容は2022年度、書籍として刊行予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

科学研究費助成事業5年計画の3年目である本年度は、当初計画に則り、文献資料記載絵巻関係資料の抜き出しとデータ化、絵巻模本の調査という、本研究推進にあたっての基礎作業を着実に進めることができた。あわせて、調査・分析の成果公開を展覧会、シンポジウムという形で実施できたのは大きな成果と言える。
ただし、新型コロナウィルスの影響により、各所属機関以外での外部調査を実施することは十分にかなわなかった。代わって代表者、分担者各自の所属機関の関連作品の調査研究を重点的に進め、研究論文、発表、展示等にその知見を生かすことができた。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画に則って、次年度も引き続き、調査研究を進めていく。
本研究は絵巻作品全体の伝来などの情報を探ることを目的としているが、前年度に続き次年度も、分担者を中心に外部研究者も交え、特定作品を取り上げ、集中的に調査研究を深めるような機会を設けられればと思っている。
加えて今後は、東京国立博物館所蔵の近代模本の調査を進め、近代における絵巻の伝来や所蔵情報の整備を進めたいと考えている。

  • 研究成果

    (50件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (39件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 6件)

  • [雑誌論文] 女性と写経2吉備由利願経2022

    • 著者名/発表者名
      恵美千鶴子
    • 雑誌名

      『ビオ・シティ』

      巻: 89号 ページ: 106-109

  • [雑誌論文] 後鳥羽天皇宸翰 熊野懐紙「深山紅葉、海辺冬月」2022

    • 著者名/発表者名
      恵美千鶴子
    • 雑誌名

      陽明文庫講座 図録

      巻: 3 ページ: 12-13

  • [雑誌論文] 大和文華館所蔵「日吉山王宮曼荼羅図」について2022

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 雑誌名

      『大和文華』

      巻: 140号 ページ: 1-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 柳橋水車図の成立をめぐる再考察2022

    • 著者名/発表者名
      鷲頭桂
    • 雑誌名

      『香雪美術館研究紀要』

      巻: 4号 ページ: 17-34

  • [雑誌論文] 「鳥獣戯画」制作年代の再検討2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      『ユリイカ』

      巻: 53巻4号 ページ: 72-82

  • [雑誌論文] 特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」 ハイクラス鑑賞法2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      『茶道雑誌』

      巻: 85巻4号 ページ: 79-88

  • [雑誌論文] 「国宝 鳥獣戯画のすべて」展 全5巻全場面を一堂に モノクロームの美を堪能2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      公明新聞

      巻: 2021年4月7日号 ページ: -

  • [雑誌論文] 一歩踏み込んで見る 鳥獣戯画のすべて2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 8-11

  • [雑誌論文] 鳥獣戯画の真像-平安絵巻としての丙巻人物戯画-2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 32-34

  • [雑誌論文] 鳥獣戯画甲巻の「すべて」-断簡・模本によるかつての姿の復原-2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 280-285

  • [雑誌論文] 嶋殿へ―明恵上人と紀州苅藻島、鷹島―2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 334-335

  • [雑誌論文] 和歌山浄教寺と明恵上人ゆかりの文化財2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 346-348

  • [雑誌論文] 鳥獣戯画八〇〇年の生命誌2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 381-396

  • [雑誌論文] 華厳宗祖師絵伝と明恵上人をめぐる人びと2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 459-464

  • [雑誌論文] 鳥獣戯画年表稿 附、甲巻系断簡の伝来について2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      『MUSEUM』

      巻: 691号 ページ: 29-51

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「鳥獣戯画」の全貌を知る、史上空前の展覧会2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      『美術の窓』

      巻: 451号 ページ: 302-302

  • [雑誌論文] 法隆寺伝来の聖徳太子絵伝2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      特別展「聖徳太子と法隆寺」図録

      巻: 0 ページ: 182-182

  • [雑誌論文] 5つのテーマで読み解く鳥獣戯画の魅力 筆者像2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      『時空旅人別冊 鳥獣戯画の世界』

      巻: 0 ページ: 64-67

  • [雑誌論文] 鳥獣戯画 抗いがたいその魅力2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      『七緒』

      巻: 67号 ページ: 15-15

  • [雑誌論文] 聖徳太子と天台宗2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      特別展「最澄と天台宗のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 255-255

  • [雑誌論文] 魔仏一如―中世の天狗の実像―2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      特別展「最澄と天台宗のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 288-289

  • [雑誌論文] 似絵における「写実」の再検討―水無瀬神宮の「後鳥羽天皇像」を手がかりに―2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      『美術フォーラム21』

      巻: 44号 ページ: 17-22

  • [雑誌論文] 「平家納経」込められた祈り2021

    • 著者名/発表者名
      恵美千鶴子
    • 雑誌名

      『墨』

      巻: 270号 ページ: 20-28

  • [雑誌論文] 平家納経を考える4 厳王品2021

    • 著者名/発表者名
      恵美千鶴子
    • 雑誌名

      『ビオ・シティ』

      巻: 87号 ページ: 100-105

  • [雑誌論文] 女性と写経1光明皇后御願五月十一日経2021

    • 著者名/発表者名
      恵美千鶴子
    • 雑誌名

      『ビオ・シティ』

      巻: 88号 ページ: 96-99

  • [雑誌論文] 「文人性と文人画 近代日本への継承と海外での受容~アンドレ・マルローが注いだ眼差しを発端に」2021

    • 著者名/発表者名
      安永拓世
    • 雑誌名

      『浦上玉堂関係叢書 浦上玉堂親子の藝術』

      巻: 別冊 ページ: 37-45

  • [雑誌論文] 与謝蕪村筆「十宜図」(川端康成記念会蔵)の史的位置2021

    • 著者名/発表者名
      安永拓世
    • 雑誌名

      『美術研究』

      巻: 424号 ページ: 35-62

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 野呂介石筆 山水図屏風2021

    • 著者名/発表者名
      安永拓世
    • 雑誌名

      『國華』

      巻: 1541号 ページ: 34-41

  • [雑誌論文] 2020年の歴史学界―回顧と展望― 日本 近世 一四 美術2021

    • 著者名/発表者名
      安永拓世
    • 雑誌名

      『史學雜誌』

      巻: 130-5 ページ: 143-147

  • [雑誌論文] 東京文化財研究所の写真資料から浮かび上がる与謝蕪村筆「寒山拾得図襖」(妙法寺蔵)2021

    • 著者名/発表者名
      安永拓世
    • 雑誌名

      『TOBUNKEN NEWS』

      巻: 76 ページ: 1-3

  • [雑誌論文] 乙巻の馬はどこから来たのか-東アジアの馬比べ2021

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 雑誌名

      特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 244-246

  • [雑誌論文] 酒井抱一が見た鳥獣戯画-MIHO MUSEUM断簡と抱一筆「鳥獣戯画写」2021

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 雑誌名

      特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 258-259

  • [雑誌論文] 白描画としての鳥獣戯画-線描の妙技2021

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 雑誌名

      特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 406-407

  • [雑誌論文] 高山寺経蔵と白描図像-鳥獣戯画の移入をめぐって2021

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 雑誌名

      特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 455-458

  • [雑誌論文] 鳥獣戯画の筆致2021

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 雑誌名

      『時空旅人別冊 鳥獣戯画の世界』

      巻: 0 ページ: 62-63

  • [雑誌論文] 天台僧の入唐求法-天台山と五台山2021

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 雑誌名

      特別展「最澄と天台宗のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 82-82

  • [雑誌論文] 智証大師円珍と園城寺(三井寺)2021

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 雑誌名

      特別展「最澄と天台宗のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 116-117

  • [雑誌論文] 法華経の功徳と荘厳2021

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 雑誌名

      特別展「最澄と天台宗のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 236-236

  • [雑誌論文] 絵巻としての鳥獣戯画―場面展開の妙味―2021

    • 著者名/発表者名
      井並林太郎
    • 雑誌名

      特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」図録

      巻: 0 ページ: 404-405

  • [学会発表] 「鳥獣戯画」の謎に迫る2022

    • 著者名/発表者名
      井並林太郎
    • 学会等名
      中日文化センター 「日本が誇る「国宝・四大絵巻」の世界」
    • 招待講演
  • [学会発表] 鳥獣戯画八〇〇年の生命誌―伝来と研究史をたどる―2021

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 学会等名
      連続講座「鳥獣戯画研究の最前線」(東京国立博物館)
  • [学会発表] 嚴島神社蔵「平家納経」 平清盛とその魅力2021

    • 著者名/発表者名
      恵美千鶴子
    • 学会等名
      慶応義塾大学教養研究センター新入生歓迎行事 連続講演企画 平家納経の世界―昇華する祈り―
  • [学会発表] 植物由来染織文化財の種同定における非破壊赤外分光分析利用の可能性―葛・芭蕉を中心に―2021

    • 著者名/発表者名
      早川典子、八木千尋、山府木碧、安永拓世、菊池理予、髙栁正夫
    • 学会等名
      文化財保存修復学会第43回大会発表
  • [学会発表] 香川・妙法寺の与謝蕪村筆「寒山拾得図襖」―画像資料を活用した復原的研究―香川・妙法寺の与謝蕪村筆「寒山拾得図襖」―画像資料を活用した復原的研究―2021

    • 著者名/発表者名
      安永拓世
    • 学会等名
      東京文化財研究所 第55回オープンレクチャー
  • [学会発表] 白描画としての鳥獣戯画―線描の妙技―2021

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 学会等名
      連続講座「鳥獣戯画研究の最前線」(東京国立博物館)
  • [学会発表] 大和文華館仏教美術コレクション再考 ―十五鬼神図巻と日吉曼荼羅―2021

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 学会等名
      祈りと救いの仏教美術展・特別講演(大和文華館)
    • 招待講演
  • [学会発表] 佐竹本三十六歌仙絵を味わう―歌と肖像の情緒―2021

    • 著者名/発表者名
      井並林太郎
    • 学会等名
      50周年記念連続講座「遠山記念館の重要文化財」
    • 招待講演
  • [学会発表] 平安絵巻としての鳥獣戯画―ストーリー展開の妙味―2021

    • 著者名/発表者名
      井並林太郎
    • 学会等名
      連続講座「鳥獣戯画研究の最前線」(東京国立博物館)
    • 招待講演
  • [学会発表] 国宝「病草紙」-平安絵巻の問題作-2021

    • 著者名/発表者名
      井並林太郎
    • 学会等名
      キャンパスプラザ京都 2021年度京カレッジ京都力養成コース京都学講座「“ファクターX”をさかのぼる―京都と疫病―」
    • 招待講演
  • [学会発表] 「柳橋水車図をめぐる旅」2021

    • 著者名/発表者名
      鷲頭桂
    • 学会等名
      特別展「柳橋水車図の世界」関連講演会(香雪美術館)
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi