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2022 年度 実績報告書

失われた古代・中世絵巻の復原的研究―作品伝来情報の検討から―

研究課題

研究課題/領域番号 19H01215
研究機関独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館

研究代表者

土屋 貴裕  独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 室長 (40509163)

研究分担者 安永 拓世  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化財情報資料部, 室長 (10753642)
恵美 千鶴子  独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 室長 (60566123)
古川 攝一  独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (70463297)
井並 林太郎  独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部企画室, 主任研究員 (80747329)
鷲頭 桂  独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 主任研究員 (90590448)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード日本美術史 / 日本絵画史 / 文化財 / 絵巻
研究実績の概要

本研究は、天災や戦災等によって失われた日本古代・中世の絵巻を可能な限り探求することを第一の課題設定している。その上で、美術作品の伝来という観点に着目しながら、これらの絵巻を個別作品の閉じられた研究に留めることなく、広く日本絵画史のなかに位置付け、その文化史的な意義を改めて問い直すことを最終的な目的として設定した。具体的には、絵巻模本や日記等の古記録、売立目録などの調査研究を通じ、失われた古代・中世絵巻の総合的把握を目指すものである。本年度は以下の成果を上げることができた。
(1)古代中世の文献資料に記載された絵巻関係資料の抜き出しとデータ化:本研究が主な対象とする古代中世絵巻の伝来、鑑賞情報を得るためには、日記、古記録等の文献資料を博捜し、そこに記載された本文を整理する必要がある。抜き出しにあたっては、絵巻のみならず仏画、肖像画、屏風等、絵画関係の記事をピックアップし、その一部をデータ化した。
(2)東京国立博物館所蔵絵巻模本の調査:絵巻模本の多くは近世に作られたが、その制作に際して、所蔵者や伝来等の情報が記されている場合がままある。本研究では、東京国立博物館所蔵絵巻模本の悉皆調査を目指し、目録の整理、撮影、所蔵者や伝来、模写者等の情報を収集すべく、模本リストの整理を継続して行った。今年度は特に近代の絵巻模本を対象とした。
(3)調査・研究の展示での公開:上記の調査・研究の成果の一部は、代表者土屋、分担者惠美・古川が中心となって、東京国立博物館で実施した「創立150年記念特集 東京国立博物館の模写・模造ー草創期の展示と研究ー」(9月6日~10月30日)で公開した。本展については図録も刊行した(全120ページ)。
(4)講座での研究成果公開:上記特集にあわせ「東博150年の歴史と模写・模造」と題する月例講演会を開催し、土屋、惠美、古川が発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

科学研究費助成事業5年計画の4年目である本年度は、当初計画に則り、文献資料記載絵巻関係資料の抜き出しとデータ化、絵巻模本の調査という、本研究推進にあたっての基礎作業を着実に進めることができた。あわせて、調査・分析の成果公開を展覧会、公開講座という形で実施できたのは大きな成果と言える。
ただし、新型コロナウィルスの影響により、各所属機関以外での外部調査を実施することは十分にかなわなかった。代わって代表者、分担者各自の所属機関の関連作品の調査研究を重点的に進め、研究論文、発表、展示等にその知見を生かすことができた。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画に則って、次年度も引き続き、調査研究を進めていく。
本研究は絵巻作品全体の伝来などの情報を探ることを目的としているが、前年度に続き次年度も、分担者を中心に外部研究者も交え、特定作品を取り上げ、集中的に調査研究を深めるような機会を設けられればと思っている。
加えて次年度は最終年度となるため、これまでの成果を特別展、特集展示等で公開できるよう、準備を進めている。

  • 研究成果

    (42件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (22件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (15件) (うち招待講演 7件) 図書 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 徳川頼宣の「初陣具足」と「江雪左文字」―家康が託した思いとともに―2023

    • 著者名/発表者名
      安永拓世
    • 雑誌名

      『福山城築城400年記念協賛事業 特別展 名刀 江雪左文字 ―江雪斎、家康、頼宣が愛した刀の物語―』

      巻: 0 ページ: 85-90

  • [雑誌論文] 光明寺所蔵羅漢図に使用された彩色材料2023

    • 著者名/発表者名
      紀芝蓮、犬塚将英、米沢玲、安永拓世、江村知子、高橋佳久(共著)
    • 雑誌名

      保存科学

      巻: 62号 ページ: 85-98

    • 査読あり
  • [雑誌論文] デジタルマイクロスコープによる2次元計測値の補正方法について―繊維計測の精度向上のための事前検証―2023

    • 著者名/発表者名
      山田祐子、安永拓世、菊池理予、早川典子(共著)
    • 雑誌名

      保存科学

      巻: 62号 ページ: 119-128

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 与謝蕪村筆「寒山拾得図」(妙法寺蔵)再考2023

    • 著者名/発表者名
      安永拓世
    • 雑誌名

      『妙法寺蔵 与謝蕪村筆 寒山拾得図 共同研究報告書』

      巻: 0 ページ: 148-157

  • [雑誌論文] 装飾料紙と書2 竹生島経2023

    • 著者名/発表者名
      惠美千鶴子
    • 雑誌名

      ビオ・シティ

      巻: 93号 ページ: 93-97

  • [雑誌論文] 平清盛・頼盛両筆「紺紙金字経」および「厳島切」の整理と伝来2023

    • 著者名/発表者名
      惠美千鶴子
    • 雑誌名

      禁裏・公家文庫研究

      巻: 9輯 ページ: 27-55

  • [雑誌論文] 親鸞聖人伝絵について――康永本の修理報告2023

    • 著者名/発表者名
      井並林太郎
    • 雑誌名

      『親鸞聖人生誕八五〇年特別展 親鸞―生涯と名宝』展覧会図録(京都国立博物館)

      巻: 0 ページ: 254-256

  • [雑誌論文] 鳥獣戯画研究の展望2022

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      土屋貴裕編『鳥獣戯画研究の最前線』

      巻: 0 ページ: 52-66

  • [雑誌論文] 東京国立博物館の歴史と近代模写・模造2022

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      『創立一五〇年記念特集 東京国立博物館の模写・模造―草創期の展示と研究―』図録(東京国立博物館)

      巻: 0 ページ: 74-82

  • [雑誌論文] 帝室博物館から国立博物館へ―戦後における国宝絵画指定が意味すること2022

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      『東京国立博物館創立一五〇年記念特別展 国宝 東京国立博物館のすべて』図録(東京国立博物館)

      巻: 0 ページ: 69-70

  • [雑誌論文] 光明寺所蔵羅漢図について―重層的な作品理解を目指して―2022

    • 著者名/発表者名
      米沢玲、安永拓世(共著)
    • 雑誌名

      美術研究

      巻: 473号 ページ: 1-29

  • [雑誌論文] 女性と写経3 久能寺経2022

    • 著者名/発表者名
      惠美千鶴子
    • 雑誌名

      ビオ・シティ

      巻: 91号 ページ: 108-111

  • [雑誌論文] 明治十五年・十七年、内国絵画共進会と「嚴島神社蔵経模本(平家納経装幀模本)」2022

    • 著者名/発表者名
      惠美千鶴子
    • 雑誌名

      『東京国立博物館創立一五〇年記念特別展 国宝 東京国立博物館のすべて』図録(東京国立博物館)

      巻: 0 ページ: 87-88

  • [雑誌論文] 装飾料紙と書1 大字和漢朗詠集と法輪寺切2022

    • 著者名/発表者名
      惠美千鶴子
    • 雑誌名

      ビオ・シティ

      巻: 92号 ページ: 102-105

  • [雑誌論文] 東京国立博物館百五十年史編纂に関わる資料の整理と活用2022

    • 著者名/発表者名
      惠美千鶴子
    • 雑誌名

      専門図書館

      巻: 2022年11月号 ページ: 38-42

  • [雑誌論文] 白描画としての鳥獣戯画―線描の妙技2022

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 雑誌名

      土屋貴裕編『鳥獣戯画研究の最前線』

      巻: 0 ページ: 148-161

  • [雑誌論文] 白描図像の模写をめぐって2022

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 雑誌名

      『東京国立博物館創立一五〇年記念特別展 国宝 東京国立博物館のすべて』図録(東京国立博物館)

      巻: 0 ページ: 96-98

  • [雑誌論文] 佐竹本三十六歌仙絵『源重之』 科学分析結果報告2022

    • 著者名/発表者名
      井並林太郎
    • 雑誌名

      『重要文化財 佐竹本三十六歌仙絵「源重之」収蔵記念特別展 歌仙絵と太刀』展覧会図録(秋水美術館)

      巻: 0 ページ: 16-19

  • [雑誌論文] 平安絵巻としての鳥獣戯画―場面展開の妙味―2022

    • 著者名/発表者名
      井並林太郎
    • 雑誌名

      土屋貴裕編『鳥獣戯画研究の最前線』

      巻: 0 ページ: 162-177

  • [雑誌論文] 百萬遍知恩寺の歴代祖師・住持肖像画について2022

    • 著者名/発表者名
      井並林太郎
    • 雑誌名

      学叢

      巻: 44 ページ: 13-54

  • [雑誌論文] 概説 観心寺・金剛寺の歴史と文化財2022

    • 著者名/発表者名
      井並林太郎
    • 雑誌名

      『特別展 河内長野の霊地 観心寺と金剛寺 真言密教と南朝の遺産』展覧会図録(京都国立博物館)

      巻: 0 ページ: 6-11

  • [雑誌論文] 北斎の素顔―日新除魔図の世界―2022

    • 著者名/発表者名
      鷲頭桂
    • 雑誌名

      『北斎:日新除魔図の世界』(九州国立博物館)

      巻: 0 ページ: 47-132

  • [学会発表] 平治物語絵巻と合戦絵の系譜2022

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 学会等名
      遠山記念館「源頼朝の時代「平治物語と源平合戦」展」特別講座
    • 招待講演
  • [学会発表] 東京国立博物館の歴史と近代模写・模造2022

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 学会等名
      東京国立博物館月例講演会「東博150年の歴史と模写・模造」
  • [学会発表] 桑山玉洲と岩瀬広隆の絵具・絵画作品における彩色材料分析と絵画表現2022

    • 著者名/発表者名
      早川泰弘、近藤壮、安永拓世
    • 学会等名
      令和4年度 東京文化財研究所 文化財情報資料部 第5回研究会
  • [学会発表] 彩色材料分析から浮かび上がる桑山玉洲の絵画制作―「渡水羅漢図」(和歌山県立博物館蔵)を例に―2022

    • 著者名/発表者名
      安永拓世
    • 学会等名
      令和4年度 東京文化財研究所 文化財情報資料部 第5回研究会
  • [学会発表] 呉春筆「白梅図屏風」と絵画の特殊な基底材(芭蕉布・葛布・絹の繊維の同定)2022

    • 著者名/発表者名
      安永拓世
    • 学会等名
      文化ファッション研究機構講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 東京国立博物館の150年―作品からたどる美の軌跡―2022

    • 著者名/発表者名
      惠美千鶴子
    • 学会等名
      東京国立博物館月例講演会
  • [学会発表] 髙木聖鶴の書とコレクション2022

    • 著者名/発表者名
      惠美千鶴子
    • 学会等名
      岡山県立美術館開催「生誕100年記念髙木聖鶴展」
    • 招待講演
  • [学会発表] 東京国立博物館百五十年史編纂に関わる資料の整理と活用2022

    • 著者名/発表者名
      惠美千鶴子
    • 学会等名
      専門図書館協議会全国研究集会「“活用”を通して組織アーカイブの価値を探る」
    • 招待講演
  • [学会発表] 明治15年、17年 内国絵画共進会と「嚴島神社蔵経模本(平家納経装幀模本)」2022

    • 著者名/発表者名
      惠美千鶴子
    • 学会等名
      東京国立博物館月例講演会「東博150年の歴史と模写・模造」
  • [学会発表] 東京国立博物館の150年2022

    • 著者名/発表者名
      惠美千鶴子
    • 学会等名
      特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」見どころを探る(於:江東区古石場文化センター)
    • 招待講演
  • [学会発表] 蜷川式胤の眼2022

    • 著者名/発表者名
      惠美千鶴子
    • 学会等名
      明治美術学会特別研究会「なぜ明治・美術・学会なのか」(於:郡山市立美術館)
    • 招待講演
  • [学会発表] 国宝 東京国立博物館のすべて~日本書跡を見ること2022

    • 著者名/発表者名
      惠美千鶴子
    • 学会等名
      特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」記念講演
  • [学会発表] 模写から読み解けること―桜井香雲模「阿弥陀鉤召図」をめぐって―2022

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 学会等名
      東京国立博物館月例講演会「東博150年の歴史と模写・模造」
  • [学会発表] 醍醐寺の中世仏画2022

    • 著者名/発表者名
      古川攝一
    • 学会等名
      基盤研究(B)「公武の信仰を統合した足利将軍家の宗教政策からみる室町時代の宗教絵画の包括的研究」(畑靖紀代表)研究会
  • [学会発表] 歌仙絵と似絵の創成―うた/絵/物語が交差する場としての歌林苑2022

    • 著者名/発表者名
      井並林太郎
    • 学会等名
      和歌文学会第68回大会(於立正大学)
    • 招待講演
  • [図書] 福山城築城400年記念協賛事業 特別展 名刀 江雪左文字 ―江雪斎、家康、頼宣が愛した刀の物語―2023

    • 著者名/発表者名
      月村紀乃、原田一敏、安永拓世(共著)
    • 総ページ数
      144
    • 出版者
      ふくやま美術館
  • [図書] 妙法寺蔵 与謝蕪村筆 寒山拾得図 共同研究報告書2023

    • 著者名/発表者名
      江村知子、安永拓世(共著)
    • 総ページ数
      160
    • 出版者
      東京文化財研究所
  • [図書] 鳥獣戯画研究の最前線2022

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕編
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      東京美術
    • ISBN
      9784808712280
  • [図書] 絵巻 = Illustrated handscrolls2022

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 総ページ数
      71
    • 出版者
      東京国立博物館
    • ISBN
      9784907515669
  • [備考] 東京国立博物館

    • URL

      https://www.tnm.jp/

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公開日: 2023-12-25  

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