研究課題/領域番号 |
19H01227
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
山本 まゆみ 宮城大学, 基盤教育群, 教授 (60709400)
坂田 隆 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (00215633)
山崎 功 佐賀大学, 芸術地域デザイン学部, 教授 (60267458)
Agahari Fransiscus・Adrian 生理学研究所, 基盤神経科学研究領域, NIPSリサーチフェロー (20836978)
関山 牧子 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 主任研究員 (90396896)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 医療衛生史 / 日本占領期インドネシア / マラリア / エピデミック / 公衆衛生 / キニーネ |
研究実績の概要 |
本研究は、日本占領期インドネシアで最も警戒されていた熱帯病の一つ、マラリアに対する医療政策、医療経済や医療実践を、地域社会での軍政主導の衛生指導や実践された市民レベルの公衆衛生運動に焦点をあて詳らかにすること目的とする。さらに、本研究では、医療や衛生から、当時のインドネシア社会の全体像をも描き出すことも目的としている。 4年間で成果を上げるため、研究初年度から本研究の国際的発信と国際研究者との交流を兼ね、10月に国際文化会館(六本木)において"Other Facets of Medical Studies on Japanese Ocupation in Indonesia"と称した国際公開シンポジウムを開催した。本研究からは、代表のHortonおよび分担研究者山本まゆみが発表し、海外からは国立マレーシア大学のJim Collinsが参加し"Public Health Education before and after the Japanese Occupation: Malaria"を発表した。他の研究成果としては、Hortonおよび研究分担者坂田隆が、それぞれ1本ずつ論文を出版した。 研究調査は、インターネットを使用しそれぞれが常態的に行ってきた。海外研究調査は、オランダおよびインドネシアにて実施した。7月および1月にオランダで調査を行い、戦前の医学雑誌を入手した。また、海軍民政府がおかれたセレベスで発行したインドネシア語新聞Pewarta Selebesの検証を開始し、一部は海軍地域の医療政策および公衆衛生対策調査の材料として撮影、次年度の研究の準備もした。2月上旬には、研究代表および研究分担者Agahariが、インドネシアへ調査へ行き当時の文献を収集した。分担者Agahariは国立公文書館において文書収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初に10月に国際シンポジウムを開催することを設定したため、6カ月という比較的短い期間で、何らかの研究成果を出すという目標ができ、研究者が研究に集中することができ研究推進を加速することができた。研究者が各地に散らばっているため、研究会を開催することが非常に難しく、情報共有および各研究者の進捗状況を把握する難しさがあった。一方、国際シンポジウムの結果、海外からも本研究への問い合わせもあり、今後さらなる研究の発展と国際共同研究の可能性がでてきた。 学期中はインターネットによる研究機関所蔵文書検索以外にも、早稲田大学中央図書館や防衛研究所などで研究をすることができたが限界があったため、直接研究機関へ行くことは3月に纏めて行う予定であった。しかし、新型コロナウィルスの影響もあり、長距離の移動が困難になった。調査計画を変更し、史資料のデジタル文書調査およびすでに収集した史資料の分析を先行した。さらに、史資料整理に時間を割き、次年度に向けて研究が迅速に進むような環境整備を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に引き続き、10月に国際公開ワークショップを開催する予定である。2日間予定しているため、戦前戦中インドネシアのマラリア研究の第一人者でAndrew Gossを招聘する。内容としては、キニーネの研究、戦前の医療とマラリア、公衆衛生とマラリアがサブテーマとなる予定である。定例研究会という形で定期的な研究会開催が困難であったが、今後は、研究者がすでに遠隔会議に慣れてきているため、2カ月に1回の定例遠隔会議を開催し研究の情報共有を、より密にするよう考えている。 海外研究調査は新型コロナウィルスの状況によるため、インターネットの調査国内図書館文書館調査に重きを置く。また、史資料の整理や重要資料の一部を英訳し、ワークショップに参加する国内外の学者が、同等に史資料にアクセスできるような環境整備をし、本研究活動の活性化を推進する予定である。 令和2年度2-3月ころに社会状況が改善しているようであれば、夏季のオーストラリアに渡航し、国立公文書館および戦争博物館(キャンベラ)での調査を検討している。
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