研究課題/領域番号 |
19H01228
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐倉 統 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (00251752)
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研究分担者 |
久保 明教 一橋大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (00723868)
神里 達博 千葉大学, 国際教養学部, 教授 (10508170)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | AIと文化 / 科学技術社会論 / 人類学 / アニミズム / 国際比較 / AIと社会 |
研究実績の概要 |
人工知能(AI)やロボット技術の発展はめざましく、その倫理的・法的・社会的検討も各国で進んでいる。しかし先端技術と社会の関係を考 えるときに不可欠な文化的背景については、必要性こそ指摘されているものの具体的な調査研究はあまり進展していない。本研究では、AI/ロボットに関する日本の文化的独自性のキーワードのひとつである「テクノアニミズム」に注目し、(1) テクノアニ ミズム論は人類学的に検討した際にどのような点が問題になるのか? (2) 日本以外の東アジア諸国ではテクノアニミズムの実態はどのように なっているのか? (3) テクノアニミズム論はAIやロボットなどの実技術にも適用できるものなのか?──の3点について、理論的・実証的検討 を加え、テクノアニミズム概念がAIやロボットの社会的イメージを検討するための日本発の基盤的枠組みとして「使える」ものにすることを目 的とする。 本研究で行なう調査研究は以下の3つである。 (1) 理論的検討:アニミズム概念の人類学的蓄積からテクノアニミズム論を見たときにどのような点が問題になるのか? (2) 実態調査:日本以外の東アジア諸国ではテクノアニミズムの実態はどのようになっているのか? (3) 応用範囲の検討:テクノアニミズム論はAIやロボットなどの実技術にも適用できるものなのか? 2019年度はこのうち(1)の理論的検討を主としておこない、文化人類学におけるアニミズム概念の総合的検討や、「テクノアニミズム」概念を提唱した Anne Allison 博士の著書や論稿を分析する作業に焦点をあて、研究メンバーが集まる研究会を4回開催した。その成果を踏まえて、2020年3月に韓国に聞き取りを主とした実地調査をおこなう計画だったが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、実施できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論的検討の深化と広がりは順調に進んだが、その成果を踏まえて、2020年3月に実施する予定だった韓国での聞き取りを主とした実地調査が、新型コロナウイルス感染症の拡大により、実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、(1) 理論的検討、(2) 実態調査、(3) 応用範囲の検討の3本立て構造は変えずに、推進していく。このうち (1), (3) については計画どおりの進捗が可能と考えているが、(2) については、とくに韓国と台湾でのフィールド調査を今後どの程度実施できるかは現時点では判断が困難である。最悪の場合は今年度もまったくおこなえない事態もありえるが、その場合はオンラインでの聞き取り調査などで代替することを考えている。現地での実地調査に比べれば得られる情報は不十分になってしまうことは避けられないが、やむをえないと考えている。
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