研究課題/領域番号 |
19H01237
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐藤 大志 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90309625)
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研究分担者 |
富永 一登 安田女子大学, 文学部, 教授 (70132636)
畑村 学 宇部工業高等専門学校, 一般科, 教授 (30300619)
陳 羽中 広島大学, 文学研究科, 准教授 (50457412)
中木 愛 龍谷大学, 文学部, 准教授 (10619216)
高西 成介 高知県立大学, 文化学部, 教授 (50316147)
屋敷 信晴 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (40404321)
武井 満幹 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (90364124)
佐伯 雅宣 四国大学, 文学部, 准教授 (50461364)
川島 優子 広島大学, 文学研究科, 教授 (30440879)
市瀬 信子 福山平成大学, 経営学部, 教授 (50176294)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 文選と李善注 / 詩語の形成と展開 / 中国古典の受容と展開 |
研究実績の概要 |
本年度は、『文選』所載詩賦の言語表現の由来を明らかにする基礎作業を中心に研究を進めた。まず『文選』所載の詩(巻19~巻30)までの全語彙を抽出、抽出した語句を李善注を活用して、その言語表現の由来(出典)を調査・整理した。本年度は巻19~巻27までの作業を終え、次年度には巻28~巻30及び賦(巻1~巻19)に着手する予定である。 また以上の基礎作業と同時に、『文選』及び六朝期における詩語の形成及び『文選』の受容に関して、個別に研究を進めており、検討の結果を共同研究会でも報告・検討した。 まず『文選』及び六朝期における詩語の形成については、『文選』の主要詩人である謝霊運について、その文学のキーワードでありながら解釈が定まっていなかった詩語「賞心」「賞」についての考察、また六朝詩賦において「ふね」が山水表現に取り込まれる過程の考察を行った。このうち、前者は唐代にかけて『文選』がどのように受容されるかを明らかにするためのひとつの基軸となるものと目される。 また『文選』の受容については、清代における文選の受容について「集句詩」を題材とした考察、「令和」の元号のもととなった大伴旅人「梅花歌序」における『文選』由来の語彙についての考察を行った。前者は、清代には六朝を題材にするという新たな動きがあり、「集文選詩」も登場するようになることに着目しつつ、かつて遊びの詩であった集句詩が博学を証明するものとして用いられたのではないかという仮説のもとに研究を進めており、後者は上代の日本人が中国に於ける文学言語の規範となる『文選』を、いかに受容し、活用、さらには改編していったのかについて検討を行った。更に『文選』成立をめぐる「文選楼説話」について、『太平広記』や地方誌等から資料の収集を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『文選』とその注釈を活用して、中国の詩人の言語創作の過程と文学言語の由来を明らかにするための基礎作業はほぼ順調に進んでいるが、語彙の抽出及び出典の確認に予想以上の時間を要したため、当初予定よりもやや基礎作業が遅れている。 また年3回を予定していた共同研究会のうち、3月の研究会が新型コロナウィルスの影響で開催できず、個別の研究報告と検討を実施することができなかったため、その成果については次年度に検討することとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後も昨年度の研究を継続し、『文選』所載詩賦の言語表現の由来を明らかにする基礎作業については、巻28~巻30までの作業を夏までに終えるように進め、ひきつづき賦(巻1~巻19)に着手する予定である。詩語の形成と発展及び『文選』の受容に関する研究については、本年度同様に個別に研究を続け、その結果を共同研究会で報告・検討したうえで、随時論文又は学会発表の形で公表することとする。
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