研究課題/領域番号 |
19H01238
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
篠崎 実 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (40170881)
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研究分担者 |
土井 雅之 文教大学, 文学部, 准教授 (00614992)
中野 春夫 学習院大学, 文学部, 教授 (30198163)
丹羽 佐紀 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (40244272)
岩田 美喜 立教大学, 文学部, 教授 (50361051)
末廣 幹 専修大学, 文学部, 教授 (70264570)
松岡 浩史 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (80780048)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エリザベス朝演劇 / 商業演劇 / 大衆劇場 / シェイクスピア / 娯楽産業 / 熊いじめ / バラッド |
研究実績の概要 |
各研究担当者が割り当てられた娯楽産業の分野を担当し、それぞれの分野に関して、シェイクスピアとその同時代の劇作家による具体的な劇作品との関連を見据えた分析と当該娯楽産業分野全体の包括的な研究に着手した。 海外での資料調査・収集に関しては、研究代表者をはじめ4名が科研費による海外出張によって、1名が他の資金による渡航によって、連合王国のロンドン、オックスフォードでの資料調査を行なった。 令和元年7月27日に鹿児島大学図書館にて第1回研究会を行ない、研究の計画と方向性を確認し、招待講演と2点の研究発表を行なった。令和2年3月21日に九州シェイクスピア研究会と合同開催で第2回研究会を開き、1点の招待講演と2点の研究発表を行なった。 令和元年10月のシェイクスピア学会では、研究代表者をはじめ3名が研究発表を行ない、1名がセミナーのコーディネーターをつとめた。また、メンバーのひとりは連合王国スウォンジー大学で開催された令和元年7月の英国シェイクスピア協会年次大会において研究発表を行なった。学会誌等への研究成果の発表状況は、日本シェイクスピア協会のふたつの研究誌『Shakespspeare Journal』とShakespeare Studies、十七世紀英文学会の論集『十七世紀英文学における生と死』ほか、所属大学の紀要などにあわせて9本の論文を発表した。 研究発表、論文での発表内容は、主として①エリザベス朝の劇作品の特質の考察と②個別の劇作品における娯楽への言及の主題論的分析、③個別の劇作品における娯楽的要素の利用であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外出張を行なった4名を含めて研究分担者から資料収集が順調であったとの報告を受けている。 当初予定したとおり7月と3月に2回の研究会を開催して、研究代表者、研究分担者間で研究の方針と計画の共有を十分に行ない、また、それぞれの時点でのメンバーの過半が研究発表を行なったことは研究初年度のスタートとして順調なものと言える。 研究代表者と研究分担者が、関連領域の主要学会である日本シェイクスピア協会の全国大会と海外での学会で本研究に関連する5点の口頭発表をすることができたことと、同協会の研究誌をはじめとする研究誌に本研究に関連する9点の論文を発表したことは、初年度の成果発表として数的に言って順調に研究が進んでいることを示している。 エリザベス朝演劇を種々の娯楽文化との関係から娯楽産業の一分野として考察し、文学研究、演劇研究、文化研究、社会史研究にまたがる分野横断的な娯楽文化史研究というあらたな領域の構築を目的とする本研究の初年度の達成として、上述の個々の劇作品における娯楽関連の主題や、娯楽的要素の演劇論的、文学論的分析は、この研究特有の分野横断という点に関して研究着手の第一歩として質的にも十分な成果と言える。
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今後の研究の推進方策 |
概括的に言うと、本研究の目的は娯楽文化のさまざまなジャンルとの関係という観点から娯楽産業の一分野としてエリザベス朝演劇を考察し、文学研究、演劇研究、文化研究、社会史研究と分野横断的に取りいれた娯楽文化史というあらたな領域を築くことが本研究の目的である。初年度の平成31年度には、各担当者が資料の収集に着手し、口頭発表、研究論文で明らかにしたことは、主として、具体的な劇作品における、種々な娯楽文化への言及の主題論的意味の解明や、他の娯楽文化要素の利用方法の分析であった。2年目以降は文化研究、社会史研究とさらにそのオーヴァークロス的研究に踏みだす必要がある。 資料調査をつづけながら、研究会を開催し、成果を学会、学会誌で発表するという具体的活動方法は変わらず、研究計画調書で謳ったように最終年度にあたる令和4年度に研究成果をまとめて、翌年研究成果公開促進費によって論集の発刊をめざして研究を進めていく。 そのためには、2年度以降は①商業劇場の娯楽産業としての特質と、その劇作品への反映、の分析、解明と②(1)行商大道芸、(2)飲酒および食文化、(3)歌舞音曲、(4)賭博産業、(5)ブラッド・スポーツ、(6)生風俗業、(7)怪物・狂気関連見世物、という各娯楽産業の実態と、その商業演劇との関連性の分析、解明を進めて、最終的に近代初期イングランドの娯楽産業の実態を立体的に明らかにする。
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