研究課題/領域番号 |
19H01261
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
沈 力 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (90288605)
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研究分担者 |
堀 博文 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (10283326)
秋田 喜美 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20624208)
渡辺 己 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (30304570)
星 英仁 同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (70340461)
下地 理則 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (80570621)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 語形成 / 方言調査 / 中国語 / オノマトペ / アメリカインディアン / 沖縄諸方言 |
研究実績の概要 |
自然言語の基本単位である「語(word)」とはなにかという問題は,伝統文法や構造主義言語学から現在の理論言語学や言語類型論に至るまで続く長年の問題であるが,いまだ明確な規定がなされていない。本研究は,語を文法的・音韻的特徴から外形的に規定する従来のアプローチと異なり,形態素および形態素以前の音連鎖(オノマトペの構成要素を含む)という内的成分がどのようなメカニズムによって語に組み立てられるかという語形成の観点から,言語類型の異なる諸言語-孤立型(中国語),膠着型(日本語,琉球諸語),複統合型(北米・スライアモン語),擬似複統合型(北米・ハイダ語)―を調査・分析することで,語の本質を解明することを目的とする。 2020年度には,主にデータ収集と言語記述の2つの面の研究成果があげられる。データ収集に関して,沈代表は2種類の方言調査を行った。A.西日本(4つの県)の諸方言における「ヨル・トル・テル」のアスペクト機能を調査した。それらの県は「岐阜県,三重県,奈良県,兵庫県」である。B. 中国黄河・汾河合流地域(8つの県市)の諸方言における形態素調査を行った。すなわち「黄河流域(吉県・郷寧県・河津市・万栄県)諸方言における3810形態素」,「汾河流域(襄汾県・侯馬市・新絳県・稷山県)諸方言における3810形態素」である。 次に,「語の本質」に関する研究成果もあげている。まず,秋田分担者は「日本語のオノマトペと言語類型論」,下地分担者は「方言研究における例文提示法について」,堀分担者は「ハイダ語の所有構造と譲渡可能性」,渡辺分担者は"A Sliammon Text: 'When Coming Out of the Woods,' as told by Mary George"などを公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍は一年半続き,言語調査の計画は決定的な影響を受けた。特に海外での言語調査である。 A.北米でのスライアモン語の調査,ハイダ語の調査(渡辺・堀担当)はほぼ不可能な状態である。 B. 近隣の中国での諸方言の調査(沈担当)は,2019年度夏,かろうじて調査を一部繰り広げたが,2020年度になると,現地調査は不可能な状態になっている。 C. 日本国内での方言調査(下地担当,沈担当)は,オンライン形式で大変不便ではあるが,根気よく努力すれば,何とか計画通りに進めている。 簡単に言えば,本研究は,当初の研究計画よりやや遅れていると言わざるをえない。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度コロナ変種が蔓延している年であると予想される。このような状況下で,如何に調査と分析を展開するのかが課題である。つぎのような対応策を工夫する予定である。 まず,海外での調査は「委託調査」に切り替える。地元の言語学者に調査項目を詳細に説明し,調査の意図を十分理解してもらったら,調査を執行していただくという対応策である。2020年度,一部試行していて,効果が上がった。 次に,日本国内の方言調査は相変わらず,地元の公民館などに働きかけて,オンライン調査を実施する。 最後に,今年度は「語」に関する理論的研究を展開するので,オンラインで研究会を開き,科研メンバーの交流を強化する。
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