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2021 年度 実績報告書

日本語敬語形成モデルの構築ー生成・運用・伝播に注目してー

研究課題

研究課題/領域番号 19H01266
研究機関同志社女子大学

研究代表者

中井 精一  同志社女子大学, 表象文化学部, 教授 (90303198)

研究分担者 Daniel Long  東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (00247884)
川村 清志  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20405624)
大西 拓一郎  大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変化研究領域, 教授 (30213797)
松丸 真大  滋賀大学, 教育学部, 教授 (30379218)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード言語行動 / 中心性 / 文化伝播
研究実績の概要

本研究は、近畿地方中央部で形成された敬語形式や敬語体系、またここで顕著に認められる敬語行動や敬語意識に注目し、既存調査データの再分析と現地調査をもとに日本語敬語形成モデルの構築をめざすものである。
2021年度は、予備調査を踏まえ調査データの分析をおこなった。また本調査にむけた準備調査を実施したが、予定していた本調査は和歌山県田辺市、大阪府泉南市等にとどまった。
和歌山県田辺市および大阪府泉南市における本調査では、敬語形式の伴わない「イク」のほか、尊敬の助動詞レル・ラレルを用いた「イカレル」は幅広い年齢層で保持していることが確認された。しかしながら大阪府泉南市およびその周辺地域である大阪府泉州地域以南では、近畿地方中央部で使用されているハル・ヤハルは少数しか確認されず、共通語の「イラッシャル」なども確認できなかった。また同じく近畿地方中央部で使用される下向きの待遇を表すヨルやトルもわずかに確認されるものの安定した使用ではなかった。つまり当該地域では、第三者への敬語行動では、上向き、下向きどちらも希薄で「無敬語」と表現しうる状態が依然継続していることを確認した。
今年度の調査によって、大阪府南部にある泉州地域以南のエリアでは、京都を中心とした近畿地方中央部の敬語形式や敬語体系を受容しておらず、近畿地方中央部の言語コミュニケーションの基盤とは異なる社会を維持しつづけていることがわかった。そして当該地域のこういった言語と社会のありようから、敬語行動においては、社会や文化といった言語外要因が、その運用に大きく関与、規定していることが理解された。

現在までの達成度
現在までの達成度

4: 遅れている

理由

2021年5月後半以降に拡大したCOVID-19第4波、2021年8月後半以降に拡大したCOVID-19第5波、2022年1月後半以降に拡大したCOVID-19第6波によって、予定していた現地調査の実施が困難になり、現地調査にもとづくデータの入力作業も延期せざるを得なくなったことによる。

今後の研究の推進方策

地元自治体および教育委員会、公民館等との協議・調整をしつつ、当初計画にもとづく調査を実施する。
またオンライン等も利用しつつ、全体会議、公開研究会(シンポジウムを含む)を開催し、日本語敬語研究の問題点とその解決にむけた取り組みや方向性について、広く社会にむけて発信したいと考えている。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 言語景観に「記録」された植民地時代の歴史-‘colonial lag’の観点からみた日本語起源借用語-2022

    • 著者名/発表者名
      Daniel LONG
    • 雑誌名

      東西人文

      巻: 18 ページ: 49-78

    • DOI

      10.22856/jewh.2022.18.49

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ボリビア日系社会の言語接触と混合言語2022

    • 著者名/発表者名
      ダニエル・ロング
    • 雑誌名

      松田真希子、中井精一、坂本光代編『「日系」をめぐることばと文化』くろしお

      巻: 1 ページ: 164-178

  • [雑誌論文] 接触言語の文法を計量的に捉える ―起点言語の語順の相関係数をマック法で比較する―2022

    • 著者名/発表者名
      ダニエル・ロング
    • 雑誌名

      人文学報

      巻: 518-7 ページ: 1-36

  • [雑誌論文] 可能の表現―可能形式の分布と地域差―2022

    • 著者名/発表者名
      大西拓一郎
    • 雑誌名

      岸江信介・中井精一編『地図で読み解く関西のことば』昭和堂

      巻: 1 ページ: 217-235

  • [雑誌論文] 日本語文法学界の展望(2018-2020) 方言2022

    • 著者名/発表者名
      松丸真大
    • 雑誌名

      日本語文法

      巻: 22-2 ページ: 187-194

  • [雑誌論文] 推量・推測と確認2022

    • 著者名/発表者名
      松丸真大
    • 雑誌名

      岸江信介・中井精一編『地図で読み解く関西のことば』昭和堂

      巻: 1 ページ: 145-160

  • [雑誌論文] 「富山県西部域における敬語行動の変容-佐伯安一編著『高岡の方言 第2集』と比較して2021

    • 著者名/発表者名
      中井精一
    • 雑誌名

      砺波市立散村文化研究所研究紀要

      巻: 38 ページ: 54-59

  • [雑誌論文] Toponymes et parlers regionauxde la region de Toyama : autourdes noms dialectaux de lapomme de terre dans les bassinsdes rivieres Jinzu et Sho2021

    • 著者名/発表者名
      Seiichi NAKAI
    • 雑誌名

      OpenEdition Journals 21 MARSEILLE FRANCE

      巻: 21 ページ: 1-16

    • DOI

      10.4000/geolinguistique.5915

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 日本語敬語形成論の構築にむけて2021

    • 著者名/発表者名
      中井精一
    • 学会等名
      令和3年度地域言語研究発表会
  • [学会発表] 学力ゾーンと敬意表現2021

    • 著者名/発表者名
      能美仁
    • 学会等名
      令和3年度地域言語研究発表会
  • [学会発表] 山形県庄内地域の敬語について2021

    • 著者名/発表者名
      高野遥菜
    • 学会等名
      令和3年度地域言語研究発表会
  • [図書] 『地図で読み解く関西のことば』2022

    • 著者名/発表者名
      岸江信介、中井精一編
    • 総ページ数
      281
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812221167
  • [図書] 『「日系」をめぐることばと文化』2022

    • 著者名/発表者名
      松田真希子、中井精一、坂本光代編
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      くろしお
    • ISBN
      9784874249147
  • [図書] 『言語景観から考える日本の言語環境―方言、多言語、日本語教育―』2022

    • 著者名/発表者名
      ダニエル・ロング、斎藤敬太
    • 総ページ数
      402
    • 出版者
      春風社
    • ISBN
      9784861107931

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公開日: 2023-12-25  

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