研究課題/領域番号 |
19H01273
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
李 在鎬 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (20450695)
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研究分担者 |
伊集院 郁子 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 准教授 (20436661)
長谷部 陽一郎 同志社大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (90353135)
青木 優子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (90724691)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 作文評価 / 文章の論理性 / 自動判定 / 文章の計算モデル / コーパス研究 |
研究実績の概要 |
日本語学習者のアカデミックな日本語能力を考える上で「書く力」は必要不可欠である。そして、この「書く力」の評価において論理的に書くことは重要である。しかし、「書く力」に対する教育は評価の難しさ、指導の難しさ、体系化の難しさから多くの教育現場において十分にはなされていない。こうした課題を受け、本研究では、研究代表者が2017年に開発した「jWriter(作文の到達度を自動判別するウェブシステム)」の自動処理技術を応用し、論理的な文章執筆を支援するウェブ基盤の自動評価システムを開発する。 テキストデータの統計的な分析手法を用いて文章における論理性を計算モデル化し、ウェブシステムにおいて計算モデルを実装することを目指している。本年は、研究の初年度にあたるもので、文章の論理性にかなめになる品詞として接続詞に注目し、次の3つの研究を行った。1)接続詞に関するこれまでの先行研究を検討し、8カテゴリー(順接、逆接、対比、並列・列挙、理由、譲歩、例示、まとめ・言い換え)で分類された103項目の接続詞リストを作成した。2)接続詞リストの項目を使用状況を確認するため、3つの学習者コーパス「多言語母語の日本語学習者横断コーパス、日本語学習者作文コーパス、日本・韓国・台湾の大学生による日本語意見文データベース」に基づく頻度調査を行った。3)調査の結果を、共起ネットワーク分析、コレスポンデンス分析を行ったところ、96の有効項目が確認され、jWriterにおいて接続詞の自動抽出機能を実装した。 今回の実装により、日本語学習者の作文における文と文の関係性を可視化できた。また、接続詞の使用状況をもとに、レベル相当かどうかの判断できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論理性のかなめとなる要素の抽出ができ、論理モデルの作成への見通しがたったため、順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
接続詞の次のタスクとして、文体の自動判定機能を追加する予定である。学習者コーパスに見られる「意見文」と「説明文」の文体レベルの違いをロジスティック回帰で分析し、入力文の特徴を自動判定する機能を追加し、作文支援につなげる。
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