研究課題/領域番号 |
19H01274
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研究機関 | 大阪観光大学 |
研究代表者 |
坪根 由香里 大阪観光大学, 観光学部, 教授 (80327733)
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研究分担者 |
数野 恵理 立教大学, 日本語教育センター, 特任准教授 (00552366)
トンプソン 美恵子 (平野美恵子) 山梨学院大学, 経営学部, 特任准教授 (20401606)
鈴木 陽子 (影山陽子) 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (60366804) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ナラティブ作文 / good writing / 評価基準 / 評価項目 / ライティング評価 / フローチャート |
研究実績の概要 |
本研究は、第二言語としての日本語ライティング評価において「ナラティブ作文」を研究対象とし、ナラティブ作文のgood writingの探究と、評価基準・評価用フローチャート等の評価法の開発によって教師支援を行うことを目的としている。 初年度である2019年度は、まず、オンラインにより、調査の対象国である東南アジアの大学で日本語を学ぶ学習者から、「困難・大変だったこと」「忘れられない出来事」の2種類の課題文によるナラティブ作文を収集した。学習者には、日本語能力を測るためにSPOTも受験してもらい、結果を得た。内訳はタイ98名分、ベトナム99名分、インドネシア98名分である。この他、比較群として日本語母語話者(大学生)21名分、ハンガリー95名分の作文も収集した。調査で使用する評価基準の原案は、日本語のナラティブ・ディスコース研究、日本語の論証型作文の評価基準、英語のナラティブ作文評価基準を参考に作成した。 収集した作文データのうち、タイ人日本語学習者によるナラティブ作文を評価項目別に評価した上で日本語能力によって分析した。その結果、「マクロ構成」「パラグラフ意識」「結束性」「記述量のバランス」「多様性」は、日本語能力が高い学習者の作文がより高い評価を得ていること、「課題達成」「ポイントの明確さ」「一貫性」「順序立て」「スタイル」は全体的に高い反面、「過不足ない描写」「導入部とまとめ」は日本語能力に関係なく全体的に点数が低いことが明らかになった。この成果については、タイ日研究ネットワークThailand国際シンポジウム2019で口頭発表を行い、『タイ日研究ネットワークThailand研究論集』 (2020) に「ナラティブ作文の評価に関する探索的研究―タイ人日本語学習者を対象として―」(坪根由香里・影山陽子)が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である2019年度は、計画通り、①調査で使用するナラティブデータ(作文)の収集、②評価項目の設定、調査方法の検討、③予備調査を行い、さらに④比較群としてして収集した日本語母語話者による作文の分析を開始した。 ①の作文収集は、タイ、ベトナム、インドネシアから各100名程度を目標としていたが、ほぼその人数のデータが収集できた。比較群である日本語母語話者(大学生)、ハンガリーからも当初の予定通りに収集できている。②については、先行研究から評価項目・評価基準の設定を行い、総合評価(調査1)、順位付け評価(調査2)、項目別評価(調査3)の形で行うことを決定した。その上で、③日本の大学で日本語の作文指導をしている日本語母語話者教師20名に対する予備調査の実施まで終了し、④は分析を進めた。 以上により、本調査で用いる評価項目および評価基準を設定した。予備調査を行うことにより、ナラティブ作文では「出来事に対する心情・評価」が述べられているかが評価の要素となることが明らかになり、独立した項目として設定することとした。また、比較群として収集した日本語母語話者による作文の分析も行っている。上記のように、評価を重ねることにより、項目の定義や評価基準がより精緻化され、次年度以降、本調査を実施する基盤ができた。 これらのことから、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
まず、2019年度に行った日本語母語話者による作文について、作文の特徴・問題点等の分析を進め、その結果を2020年度に発表する。同時に、2019年度に行った日本語母語話者教師に対する予備調査で得られた作文の評価結果についての分析を進め、ナラティブ作文のGood Writingに必要な要素等について明らかになったことを発表する。 この結果を踏まえ、2020年度からはインドネシア・タイ・ベトナムの大学で日本語を教える日本語母語話者教師および非母語話者教師を対象に本調査を実施する。その準備として、収集した作文の中から評価に用いるナラティブ作文のGood Writingの候補となる作文を抽出し、調査方法は先行研究や予備調査に基づいて再検討をした上で確定する。本調査では、予備調査から必要な変更を加えた上で、調査1~調査3を実施する。 本調査は、オンラインでの調査と発話プロトコルデータを収集する対面での調査を実施する予定である。2020年度は、新型コロナウィルスの感染拡大により、現地への訪問調査が不可となったため、オンラインでの調査から実施し、対面調査は、新型コロナウィルスが収束し、現地への渡航が可能になった時点で行う。
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