研究課題/領域番号 |
19H01284
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
多良 静也 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (00294819)
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研究分担者 |
鈴木 恵太 岩手大学, 教育学部, 准教授 (50582475)
米崎 里 甲南女子大学, 文学部, 准教授 (60737352)
立松 大祐 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (10756828)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 英語教育 / 特別支援教育 / 特異的なつまずき / スクリーニングツール / タブレット |
研究実績の概要 |
昨年度は開発した e-screenerの妥当性を検証することからスタートするために,高知県内,岩手県内の小学生,中学生,高校生約1,000人を対象にタブレットを貸与し,e-screener上で解答の協力を仰ぎ,それらを踏まえて因子分析やクラスター分析などの統計解析を行い,ツールの妥当性について議論する計画であった。しかしながら,新型コロナウイルスの影響で,学校現場への調査がまったくできなかった。そのために,1年かけて完成しているアプリの動作確認とより良い資料を提供できるようプログラムの加筆修正をおこなった。具体的には,音声入力機能と画像処理機能の更新である。ともに精度を高める工夫をして,データの再収集がしなくてすむことを意識した。 つぎに,これまでの研究チームの成果や特別支援教育と英語教育の連携の重要性について,研究分担者である鈴木が中心となり,研究代表者の多良,研究協力者である中学校教員の柴田,高等学校教員の堂元,医学系大学院生の上岡が大修館書店発行の専門雑誌『英語教育』に1年間記事を連載した。その主なものを字数の関係上タイトルのみ示すこととする。「児童生徒が困っていることをわかりたい 第1回 学習障害の特性理解」,「児童生徒の特性を尊重した授業づくり 第2回 学びの特性把握のためのアセスメント法①スクリーニング法」,「児童生徒が困っていることをわかりたい 第3回 学びの特性把握のためのアセスメント方法②心理検査」,「学習障害と認知機能~『読む・書く』と『聞く・話す』に関わる認知機能の理解~」,「学習に特異的な弱さのある子どもたちと英語学習~特別支援教育からのアプローチ~」など。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【研究実績の概要】にも記したが,新型コロナウイルスの影響で学校現場でのデータ取りがまったくできなかったため,スクリーニングツールのアプリを完成させることができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度新型コロナウイルスの影響でまったくできなかった学校現場でのデータ取りについて,感染者数が他県に比べて極めて少ない高知県,岩手県の小学生,中学生を対象に,教育委員会や学校長の許可を得た上で,感染対策を十分に行って実施したい。そして,得られたデータについて,因子分析やクラスター分析,ROC Curve分析などの統計解析を行い,ツールの妥当性について議論する。そして,特別支援教育の研究分野で使用される10%タイル値を導き,スクリーニングの基準値としてアプリに設定する。この一連の作業でe-screenerが完成する。 つぎは,実際の教育現場に貸与して,子どもたちのつまずきについて教室単位で調査をする。児童生徒一人一人の結果(音に弱いのか,形に弱いのか,意味に弱いのかなど)が教師用タブレットに表示される。その結果を踏まえて,一斉指導,個別指導のあり方を教員と研究チームで検討し,実際に指導を行って頂き,一定期間の後,どのような成長が見られたのかを検討する。 こういった研究の成果は,現在のところ,全国英語教育学会長野研究大会「課題研究フォーラム(2年目)」として発表することになっている。また小学校英語教育学会全国大会でも自由研究発表として行う予定である。 一定の成果が得られたら,無償公開の手続きに移る。e-screenerはiOSで稼働するため,App Storeへ登録する手続きをする。使い方に関する説明書も作成し,ネットで配布する予定である。そして,アプリの宣伝については,専門雑誌などに寄稿することで広めたいと考えている。
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