2017年度の学習指導要領の改訂伴い、2020年度からすべての小学校において、5・6年生で外国語が教科化され、3・4年生から外国語活動が実施されている。このような状況下で、主たる担当者である担任教師の英語力や、外国語指導助手(ALT)の人数不足、また、離島等のへき地・小規模校と中・大規模校との指導環境格差などが問題として挙げられている。本研究では英語コミュニケーション能力を備えたアバター(分身キャラクター)を人工知能(以下AI)を用いて製作し、試験的に小学校の英語教育に導入することで、現状の課題を解決し、現場での教員とAIとのより良い「共存」の可能性を探るものである。 2021年度は、これまでカスタマイズを重ねて来たAIの試作版を、実際に小学校英語教育の現場で使ってもらい、その印象や使用感についてのアンケートを児童対象に実施した。また、教師に対しては好ましいAIのインターフェイスや、AIを授業で利用するのための課題などについてインタビューを実施した。 その結果、児童はAIを繰り返し利用することで英語を「聞く力」「話す力」が身につきそうだと感じていること、実際に外国人と話をするよりもリラックスしてAIと向き合うことができること、また使ってみたいと思っていることなどがわかった。また、教師はどのような授業場面でAIを利用することが効果的かということが課題であると感じていることがわかった。
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