研究課題
2022年6月の日本ドイツ学会大会において、「19 世紀における「感情史」―日独比較を通じて」を実施し、研究成果を発表することが今年度の最大目標であった。そのため、準備会合を実施して、発表内容について相互に検討を行った。本大会がとくに 19 世紀に焦点を当てたのは、義務教育の浸透やメディアの発達、徴兵制などによって国民形成が進んでいく大衆社会とは異なり、国民国家が出来る前の 19 世紀において、 権力はどのようにして人びとの感情を統制しようとしていたのか。人びとはどのような「感情の共同体」の中で過ごし、どのような感情的発話を試みたのかといった問題が、これまで十分に検討されてこなかったためである。感情史の日独比較を通じて、どのような理論や枠組みを作り出すことができるのかについて、大きな議論を行うことも、大きな目的であった。本大会では、山根徹也が1835年のプロイセン国王誕生日に王都ベルリンで起きた暴動を事例研究の対象とし、民衆の感情の論理のようなものがいかなるものであったか、それが王権にとってどのような意味を持っていたかを考察した。三ツ松誠は本居宣長以降の国学者を事例に、19 世紀日本における社会体制の変化と、感情を顕す媒体としての和歌の在り方の変化との相互関係を論じた。池田勇太は19 世紀中葉の熊本藩において、朱子学の実践に挑んだ武士たちの記録をもとに、彼らが道徳的な規範に心を合わせようとした努力の軌跡をたどった。これらの報告をもとに論文を完成させ、外国語で発表することが本科研の次の目標となる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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みすず
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女性とジェンダーの歴史
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